月別アーカイブ: 2014年1月

全世界の失明者の割合

失明は、経済活動や教育の機会を減らし、QOLを低下させるばかりでなく、死亡率も高くさせるという報告もあり、眼科医としては何としても防がなければならない問題です。

失明を0.05または中心10度以内の視野狭窄と定義した場合、2010年の全世界における失明者は3240万人と推定され、1990年に比べると失明者の割合は減っているものの、人口増加と高齢化のため、失明者数は横ばいであると報告されました。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23850093

近視眼における網膜の厚みと緑内障について

近視とは、「調節力を働かせない状態で、平行光線が網膜より前に焦点を結んでしまう状態」で、多くは軸性近視に属し、正視の人より眼球が大きい(眼軸長が長い)ため、網膜が焦点より後ろにある状態を言います。すなわち近視眼は、風船を大きく膨らませた状態に似ていますので、風船のゴムが薄くなるように、眼球の壁、ひいては網膜も薄くなっていると多くの報告で立証されています。一方、緑内障においては、網膜神経節細胞が障害されるため、その細胞に関わる網膜の層が薄くなります。近視は緑内障のリスクファクターであるため、緑内障眼において網膜が薄いという検査結果がでた場合には、近視のためか、緑内障性視神経障害のためか、判断が付きにくいことがあります。

本論文では、正常眼では、眼軸長が長いほど、黄斑部における網膜神経節細胞に関わる網膜層が薄くなっていたという報告です。今後、網膜の厚みを調べる眼科検査機器においては、近視の程度を補正するプログラムが必要かもしれません。

http://link.springer.com/article/10.1007/s10384-013-0292-2?wt_mc=alerts.TOCjournals

急性緑内障発作後の白内障手術

急性緑内障発作(急性原発閉塞隅角症)は、急激な視力低下とともに、頭痛や嘔気などを伴うこともある、重要な眼科的救急疾患の一つです。本疾患の治療として、視力を向上させる意味でも、房水流出を良くして眼圧を下げる意味でも、白内障手術は推奨されている治療法です。白内障手術は、術前に種々の眼科的検査を行ったうえで、水晶体を取り除いて眼内レンズを挿入する術式ですが、眼内レンズの度数は術前の眼科的検査の結果を勘案して決定されます。通常の症例でも、術後の屈折検査において術前に予想された度数に合致せず、強い度数の眼鏡を処方する例もありますが、本疾患では、そのようなことがより多く生じると言われています。

本論文では、急性原発閉塞隅角症に対する白内障手術について、術後の屈折の度数が異なってしまう原因として、本疾患の罹病期間と関連すると報告しました。よって、本疾患においては、早急な眼圧下降治療が必要となります。

http://link.springer.com/article/10.1007/s10384-013-0285-1?wt_mc=alerts.TOCjournals

原発閉塞隅角症

以前にも述べました通り、「緑内障の本態は進行性の網膜神経節細胞の消失とそれに対応した視野異常である緑内障性視神経症(glaucomatous optic neuropathy: GON)」です。そのため、従来の(房水の流出路である隅角が狭いタイプの緑内障である)原発閉塞隅角緑内障と呼ばれていたカテゴリーの中で、視神経が障害を受けていない一群を「原発閉塞隅角症」と呼ばれるようになりました。以下に緑内障診療ガイドラインの記載を示します。

(1)原発閉塞隅角症疑い(primary angle closure suspect: PACS)
原発性の隅角閉塞があり、眼圧上昇も、器質的な周辺虹彩前癒着(peripheral anterior synechia: PAS)も緑内障性視神経症も生じていない、すなわち非器質的隅角閉塞(機能的隅角閉塞、appositional angle closureとも呼ばれる)のみの症例。

(2)原発閉塞隅角症(primary angle closure: PAC)
原発性の隅角閉塞があり、眼圧上昇または器質的な周辺虹彩前癒着を生じているが緑内障性視神経症は生じていない症例。

(3)原発閉塞隅角緑内障(primary angle closure glaucoma: PACG)

原発性の隅角閉塞があり緑内障性視神経症を生じた症例。

緑内障診療ガイドライン(第三版)

中心性漿液性脈絡網膜症と冠動脈性心疾患

中心性漿液性脈絡網膜症は、黄斑下に水が溜まり、軽度の視力低下や中心暗点、変視症、小視症などの自覚症状が出現する、眼科の中では比較的よくみられる疾患で、30~50歳代の男性に多いと言われてます。

5年間のコホート研究で、特に同疾患を持つ男性患者では、持たない男性患者に比べ、冠動脈性心疾患の発症頻度が1.72倍であると報告されました。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24169652

眼圧と家族歴

子どもや兄弟同志では、眼圧に正の相関があったという報告です。ちょっとびっくりなのは、配偶者とも正の相関があったというデータで、眼圧は遺伝的要因だけではなく、環境要因も関係するらしいです。

http://archopht.jamanetwork.com/article.aspx?articleID=1813320&utm_source=dlvr.it&utm_medium=facebook&utm_campaign=feed_posts%0A

ただし、過去の眼科疫学調査では、配偶者との関連はなかったとするものもあり、今後の研究が待たれます。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14691154