月別アーカイブ: 2015年11月

学童期の近視について

北京の小学生(5-14歳)4249人を対象とした研究で、近視は36.7%にみられ、その危険因子としては高い年齢(特に10歳以上の少女)、親が近視であること、読書時の姿勢、読書時の距離が20cm未満、3時間以上の自宅学習、1時間以上の連続した学習、教科書以外に読む本の文字の小ささがあげられるという報告がありました。

Prevalence of and factors associated with myopia in primary school students in the Chaoyang District of Beijing, China

緑内障眼の反対眼について

緑内障の発症および病期の進行の最大の危険因子は眼圧であることが知られています。一方で、実は反対眼が最大の危険因子という説もあります。すなわち、片眼が緑内障であれば、いずれ反対眼が緑内障になり、片眼の病期が進行すれば、反対眼もいずれ進行することがある程度証明されています。
本論文では、片眼に緑内障の病期の進行がみられた場合に、反対眼では通常の視野検査や眼底写真による診断では進行がみられていなくとも、より微細な眼底構造を捉えられる光干渉断層計による観察では、網膜神経線維層厚の菲薄化がみられたと報告しています。

Rates of Retinal Nerve Fiber Layer Loss in Contralateral Eyes of Glaucoma Patients with Unilateral Progression by Conventional Methods

緑内障治療における長期のアドヒアランスについて

緑内障診療ガイドライン(第三版)によれば、「緑内障はきわめて慢性に経過する進行性の疾患で、長期の点眼や定期的な経過観察を要し、かつ自覚症状がないことが多いので、治療の成功には患者の協力が保たれることが必須である。(中略)アドヒアランスとは患者も治療方法の決定過程に参加したうえ、 その治療方法を自ら実行することを指すものと定義される。(中略)アドヒアランス不良は、緑内障性視神経症が進行する重要な要因の一つであるので、治療にはアドヒアランスが得られやすい薬剤を選択する、進行したときにはアドヒアランスを確認するなどの配慮が必要である。」と書かれています。

過去の報告によれば、良好なアドヒアランスを得るためには、薬物治療開始後1か月が大切であるとする報告がありましたが、長期にわたるアドヒアランスを調べた本論文によれば、4年間にわたる良好なアドヒアランスを得るために、最初の一年間が大切であると結論付けています。

Patterns of Glaucoma Medication Adherence over Four Years of Follow-Up