月別アーカイブ: 2014年1月

緑内障手術後の感染症

代表的な緑内障手術である濾過手術(線維柱帯切除術)は、白目の厚い膜(強膜)に房水を逃がすトンネルを作り、白目の表面にある結膜の下に房水を溜める(溜まった場所を濾過胞といいます)方法で、1968年にCairnsにより原法が報告され、種々の改変がなされ、現在でも日本においては主流の緑内障手術になっています。

http://emedicine.medscape.com/article/1844332-overview

眼圧を下げることについては非常に優れた方法ですが、いくつかの合併症があり、その中に濾過胞感染があります。本術式では、眼内と眼外とが、薄い結膜のみで隔てられるため、感染症が起こると、容易に眼内に細菌が侵入し、場合によっては視機能を落としてしまう可能性があります。日本緑内障学会では、濾過手術後の濾過胞感染の発生率を大規模で前向きに調べました。5年後の発症率の報告がOphthalmology誌に掲載されることになりましたが、2.2%ということです。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24424248

緑内障診断における中心視野の評価

一般的な緑内障診断における視野検査は、field(範囲)というよりはthreshold(閾値、感度)をみています。その理由は、緑内障性視野障害の多くは中心30度以内に初発し、ほとんどは孤立暗点から始まり、病期の進行に伴いその部位の感度が低下し、暗点の面積が拡がる、という経過をたどるからです。現在においては、測定時間を短くすること、疲労効果を下げること、周辺部は眼瞼の影響などでエラーが多いことなどから、30度よりも24度以内をみる検査が主流となっているかと思われます。多くの眼科施設で使用されている視野計はハンフリー視野計と呼ばれるもので、特に検査結果の解析能力には定評があります。しかしながら、本機器においては、閾値を検査する測定点が均等に配置されているという大きな問題点があります。本来患者さんの自覚症状を推測する上でも、また、網膜神経節細胞の密度の点からも、測定点は中心に密である必要があります。それを補完するために、10度以内を密に捉える検査も必要となってきます。

本論文では、緑内障性視神経障害を有する患者さんを調べたところ、ハンフリー視野計で24度以内を測定するプログラムでは異常がみつからなかった例でも、10度以内を密に測定するプログラムでは16%に異常がみつかったというものです。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24407153

血液透析と緑内障

血液透析患者の眼圧や緑内障についてはいくつかの報告があります。血液透析中または直後では、眼圧が下がるという報告が多いです。単純に体内水分量が減少するためと考えていいのかもですが、透析中は仰向けで寝るため、眼圧が上がるという報告もあります。

本論文は、血液透析前後での眼圧、血圧、眼潅流圧(眼内血流を示す指標で、眼底血圧―眼圧が大本の数式ですが、報告により若干の補正がなされます。眼底血圧は一般的に全身血圧から評価されます)を調べた報告で、眼圧が上がり、血圧が下がるため、眼潅流圧が下がり、緑内障を悪化させる可能性があるという結論です。

http://archopht.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1774026

高血圧治療薬と緑内障

緑内障患者さんから、「高血圧治療薬を服用していますが、大丈夫でしょうか?」と聴かれることがあります。以前にも述べましたように、高血圧は高眼圧に関連し、低血圧は緑内障の危険因子と言われていて、血圧を下げることが緑内障にとっていいことなのか悪いことなのか不明であると言えます。また、一般的には高血圧治療は利益の方が不利益を上回る場合が多く、緑内障に影響を与えるとしてもわずかですので、「そのまま服用していて下さい」とお話しすることが多いです。

院長が大学病院眼科の緑内障外来にいた頃は、Ca拮抗薬が眼血流を向上させ、神経保護にも効くというデータがいくつか出ていたため、血圧が下がらないタイプのCa拮抗薬を緑内障治療に使用していたことがあります。しかしながら、その後の調査で、Ca拮抗薬はかえって緑内障を悪化させるというデータが出て、そのような治療はすっかり廃れてしまったように思えます。今でも、Ca拮抗薬の有効性を示すデータも出ていますし、まだまだ研究が必要な分野と言えます。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17568677

日本人における新規緑内障患者に対する緑内障治療薬のアドヒアランス

以前、緑内障治療薬に対するアドヒアランス(患者も治療方法の決定過程に参加した上、 その治療方法を自ら実行すること)は極めて低く、治療後6カ月で50%、3年で37%、治療薬を毎日欠かさず行っている例は10%以下であると述べました(Nordstrom 2005)。

最新の日本人のデータは、かなり良好で、3カ月で73.2%、3年で52.5%という報告がなされました。日本人が緑内障、ひいては眼科治療に積極的だということを示すデータと思います。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24408788

3D OCT-1 Maestro

光干渉断層法 (Optical coherence tomography; OCT)は、光の干渉現象を応用して、主として眼底の微細な構造を、高解像度の断層像として表す画像解析法です。緑内障や網膜疾患などの診断に大変有用な検査機器で、院長は以前眼科医向けに総説を執筆したこともあります。

OCTによって緑内障診療の何が変わるか ─後眼部OCT(3)─3D OCT-2000

新医院に移転するにあたり、ジョイスティックはなく、タッチパネルでの操作が可能で、簡便で素早い画像取得および解析ができるOCT(3D OCT-1 Maestro)を導入することになりました。本日現医院でデモを行いましたが、オートアラインメント機能に優れ、撮影時間も短く、検者、被験者とも負担が少ない優秀な器械と思いました。

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