「院長ブログ」カテゴリーアーカイブ

網膜中心静脈閉塞症患者の死亡率

網膜静脈閉塞症は何らかの原因で網膜静脈血流が途絶え、網膜が障害され、急激な視力低下や視野障害、ものが歪んでみえるといった変視症などを自覚する、眼科的に重要な疾患です。患者背景として、高血圧や糖尿病、その他心血管系疾患が合併していることが多いことが知られています。

本論文では、網膜中心静脈閉塞症患者では、健常者と比較して死亡率が高いことを報告しています。しかしながら、糖尿病や心血管系疾患の影響を補正して比較すると、死亡率に差がないことが示されました。したがって、網膜静脈閉塞症を有する患者には、積極的な全身疾患の管理が重要となります。

http://www.aaojournal.org/article/S0161-6420(13)00662-3/abstract

チョコレートと網膜血管

網膜血管には自動調節能があると言われており、眼圧や血圧、気温、体位などによる眼循環低下が起こりにくいとされています。一方、緑内障眼では、このような自動調節能が低下し、例えば軽度の眼圧上昇でも眼循環が低下しやすいとされています。その一因としては網膜血管内皮の機能障害が示唆されています。

フラボノイドは一酸化窒素を介して血管を拡張させる作用があり、チョコレートやワインなどに豊富に含まれています。本論文では、チョコレート摂取により、健常眼では網膜血管が拡張したものの、緑内障眼では変化がなかったと報告しています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24628966

硝子体手術と緑内障

硝子体手術は各種網膜疾患に対して行われる大変有用な手術ですが、術中の手術操作や術後の体位による眼圧変化、原疾患による影響、酸化ストレスが原因と推測されていますが白内障同時手術による影響などにより、緑内障を悪化させることがあると言われています。

本論文では、硝子体手術眼では、開放隅角緑内障の有病率が高かったと報告していますが、白内障手術の影響はなかったとしています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24608670

第7回打ち合わせ会議

昨夕新医院建設の第7回打ち合わせ会議が行われました。厳密には臨時会議がありましたので、9回目になるようです。現在の進捗状況は全体の87.5%で、ほぼ予定通りとのことでした。引き渡しは4月末日の予定ですが、予定外の工程の遅れや移転作業を考え、新生やおえだ眼科開院は6月2日(月)となります。

今回をもって全体の打ち合わせ会議が終了とのことでした。関係各位に深く御礼を申し上げます。また、引き続きよろしくお願い申し上げます。

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白内障手術後のドライアイ

白内障手術後の合併症の一つとして、ドライアイやそれに伴う角膜上皮障害が挙げられます。通常は点眼加療を行うなどで、経過とともに改善しますが、中には重篤なケースも散見されます。原因はよくわかっていないのですが、手術による侵襲や術中に視認性を上げるために用いる眼潅流液や生理食塩水などの影響が考えられています。

白内障手術中には、眼潅流液が貯留し、かえって視認性が落ちるため、吸引式の開瞼器を用いることがありますが、本報告では、このタイプの開瞼器の使用が、短期的なドライアイの一因と報告しています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=24488128

眼疾患と死亡率

北京での研究で、各種眼疾患と死亡率の関係を調べたものです。糖尿病網膜症、緑内障以外の視神経症、核白内障と死亡率は関係がありましたが、遠視、近視、強度近視、翼状片、加齢黄斑変性、網膜静脈閉塞、緑内障、皮質白内障とは関連がみられなかったと報告しています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24612916