硝子体手術は各種網膜疾患に対して行われる大変有用な手術ですが、術中の手術操作や術後の体位による眼圧変化、原疾患による影響、酸化ストレスが原因と推測されていますが白内障同時手術による影響などにより、緑内障を悪化させることがあると言われています。
本論文では、硝子体手術眼では、開放隅角緑内障の有病率が高かったと報告していますが、白内障手術の影響はなかったとしています。
硝子体手術は各種網膜疾患に対して行われる大変有用な手術ですが、術中の手術操作や術後の体位による眼圧変化、原疾患による影響、酸化ストレスが原因と推測されていますが白内障同時手術による影響などにより、緑内障を悪化させることがあると言われています。
本論文では、硝子体手術眼では、開放隅角緑内障の有病率が高かったと報告していますが、白内障手術の影響はなかったとしています。
白内障手術後の合併症の一つとして、ドライアイやそれに伴う角膜上皮障害が挙げられます。通常は点眼加療を行うなどで、経過とともに改善しますが、中には重篤なケースも散見されます。原因はよくわかっていないのですが、手術による侵襲や術中に視認性を上げるために用いる眼潅流液や生理食塩水などの影響が考えられています。
白内障手術中には、眼潅流液が貯留し、かえって視認性が落ちるため、吸引式の開瞼器を用いることがありますが、本報告では、このタイプの開瞼器の使用が、短期的なドライアイの一因と報告しています。
北京での研究で、各種眼疾患と死亡率の関係を調べたものです。糖尿病網膜症、緑内障以外の視神経症、核白内障と死亡率は関係がありましたが、遠視、近視、強度近視、翼状片、加齢黄斑変性、網膜静脈閉塞、緑内障、皮質白内障とは関連がみられなかったと報告しています。
炭酸脱水酵素阻害薬内服は、長期的には四肢のしびれや代謝性アシドーシスなどの副作用のため、継続して使用することは難しいのですが、短期的には高い眼圧下降効果が得られるため、急性緑内障発作の前治療のひとつとしてよく行われています。一方、稀ではありますが、炭酸脱水酵素阻害薬には、一過性近視や毛様体浮腫、ぶどう膜滲出、水晶体―虹彩隔膜の前方偏移などの機序により、かえって閉塞隅角緑内障を起こしうることも言われており、少ないですが、症例報告がなされています。 本論文は、急性高山病予防に炭酸脱水酵素阻害薬内服を行ったところ、急性緑内障発作を生じたという症例報告です。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24620322
緑内障診断についての難しさは以前述べたことがあります。緑内障診断には眼圧、眼底所見、視野所見が欠かせませんが、例えば眼圧が日本人の平均値である15mmHgであっても正常眼圧緑内障の可能性があります。眼底所見にしても、健常眼の視神経乳頭形状や網膜神経線維層厚にはかなりの相違があり、「この数値を下回ったら緑内障」という診断は困難です。視野所見が最終的な確定診断になりえますが、検査時間が長く、患者さんに負担がかかり、検査ごとの測定値の変動が大きいことが知られています。
共焦点レーザー検眼鏡、Heidelberg Retina Tomograph (HRT)は立体的に視神経周囲の眼底形状の計測が可能な器械で、1990年代に開発されて以降、今でも緑内障診断に有用な検査機器です。本器械はいくつもの計測パラメータが算出されますが、各パラメータ単独での緑内障診断力は低く、また、専門家でないと判断し難いところがあり、それらパラメータを組み合わせた判別式や、machine learning classifierといった人口知能を用いた緑内障診断法も開発されましたが、立体眼底写真を用いた緑内障専門医による診断の方が良好という報告もあり、有用とは言い難いものがありました。
本論文は、決定木という、沢山のパラメータをyes/noで分類していき、それをbootstrappingという観察集団のサブグループで決定木を多数作成するrandom forest法を用いることにより、HRTによる緑内障診断が格段に向上したと報告しています。