原発閉塞隅角症疑いについて

緑内障診療ガイドライン(第三版)によれば、原発閉塞隅角症疑い(primary angle closure suspect; PACS)とは、「原発性の隅角閉塞があり、眼圧上昇も、器質的な周辺虹彩前癒着(peripheral anterior synechia: PAS)も緑内障性視神経症も生じていない、すなわち非器質的隅角閉塞(機能的隅角閉塞、appositional angle closureとも呼ばれる)のみの症例」であり、米国における緑内障ガイドラインである、preferred practice patterns (PPPs)においても、ほぼ同様の定義です。本疾患群に対する治療については定見がないのですが、PPPsによれば、PACSの自然経過をみた文献がわずかながらあり、四分の一の症例で、5年以内に眼圧上昇またはPASが生じると言うことです。閉塞隅角緑内障は、急性緑内障発作を起こしてしまった場合に、治療にはかなり難渋し、不可逆的な視機能障害も生ずるため、可能であればPACSの時点で治療を行いたいところですが、治療に対する合併症や掛かる費用なども勘案すると、PACSに対する治療は十分な検討が必要と考えます。

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