緑内障手術と抗血管内皮増殖阻害薬

代表的な緑内障手術である線維柱帯切除術(濾過手術)は、房水を強膜トンネルを通じて結膜下に流し込む、言わば新しい流出路を作成する眼圧下降治療で、高い眼圧下降効果が得られます。しかしながらその流出路は、創傷治癒機転(けがを治す働き)のため、術後閉塞してしまうことがあり、創傷治癒機転を抑制するために代謝拮抗薬を術中術後に使用することが一般的です。一方、代謝拮抗薬を用いることにより、結膜の菲薄化が生じることがあり、稀ではありますが、術後に重篤な濾過胞感染、眼内炎が生じる可能性があります。

近年、加齢黄斑変性などの血管新生が生じる網膜疾患に抗血管内皮増殖阻(VEGF)薬の硝子体注射を行うことが一般的になっていますが、この抗血管内皮増殖阻害薬は新生血管を阻害するのみならず、線維芽細胞などの増殖抑制にも効果があることが知られており、そのため、血管新生緑内障などの難治緑内障に対する濾過手術中に、硝子体内や結膜下に抗血管内皮増殖阻害薬注射を行う報告が多くなされるようになっています。本論文はそれらのメタアナライシスで、代謝拮抗薬と抗血管内皮増殖阻害薬の併用では、代謝拮抗薬単独使用と比較して、高い眼圧下降効果がみられたものの、代謝拮抗薬単独使用と抗血管内皮増殖阻害薬単独使用との比較では、手術成績に差がなかったとしています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24523890

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