「眼圧と血圧って関係がありますか?」と聴かれることがよくあります。実は関係はあります。わずかですが、血圧が高いほど眼圧も高くなるという報告があります。しかしながら重要なことは、緑内障の危険因子に低血圧があることがよく知られています。血圧が低ければ、眼循環が悪くなり、視神経に栄養を与えることができなくなるため、視神経障害が強くなる、という仮説があります。緑内障が眼圧以外の種々の因子によって成立しているであろうことの根拠でもあります。
いずれにしても、まだまだ知見が足りない分野であり、緑内障に対する血圧の関係はあったとしてもわずかですので、後期の正常眼圧緑内障症例のほかの方には、あまり気にする必要がない旨、お話しております。
自分は血圧が最高が100を超えなく眼圧が12~13なので低血圧は緑内障になりにくいと勘違いしてました。仮説もあると言うことは可能性かあるということになると思われ大変勉強になりました。ありがとうございます。
ゆら様、コメントありがとうございます。拡張期血圧または収縮期血圧のどちらが関連するかは諸説あるようです。また、降圧剤が緑内障を悪化させている場合があるという説もあります。
はじめまして。
自分は10年来複数の降圧薬を飲んでいます。2年前から緑内障の点眼加療を受けていますが、少し進行しました。降圧薬は極力減らしてもらうようにした方がよいでしょうか?
はじめまして。
中々難しい問題でして、結論は出ていないものと考えていただけると幸いです。以下に学術的な報告や一般的な眼科医の考え、および私見について述べさせていただきます。
ブログにもいくつかに渡り記載させて頂きましたが、夜間低血圧が緑内障を悪化させるというデータやCa拮抗薬内服と緑内障発症率との間に関係があるというデータもあります。ただし、降圧剤を止めることにより、大きな全身疾患を起こしてしまっては元も子もありません。また、これら降圧剤と緑内障は関係があったとしてもわずかです。これらのことから、現状では、緑内障の治療のために降圧剤を止めるということは行われておりません。ただし、緑内障専門医の中では、議論がなされている最中でして、今後治療方針が変わってくることが十分ありえます。
一般的な緑内障(原発開放隅角緑内障)においては、どんなに眼圧を下げても、長い間をみると少しずつ視野障害が進行します。ただ、その進行の程度が遅かったり、視野障害の部位が中心から外れていたりする場合には、治療の変更を行わないことも多いです。
ご心配でしたら、眼科の主治医の方に「進行の程度」と「治療の変更の是非」について問い合わせて頂けたら、と思います。
早速のご回答をありがとうございました。両方の専門の先生はなかなかおらず藁にもすがる思いで質問させて頂きました。今後新しい情報がもたらせることを期待しています。
シー様、分かる範囲での回答で恐縮ですが、またお気軽にご質問してください。
お言葉に甘えて再度質問させて頂きます。
Ca拮抗薬が悪化させるというデータもあるとのことですが、それは特定の薬剤でしょうか?それともCa拮抗薬全般ということでしょうか?(もちろん全てのCa拮抗薬のデータがあるわけではないことは重々分かりますが)
また今ではCa拮抗薬の視神経保護作用は否定されているのでしょうか?
シー様、Ca拮抗薬全般ということです。ご指摘の通り、Ca拮抗薬は視神経保護作用を有するとされており、1990年代には日本を中心として盛んに研究がなされ、主に正常眼圧緑内障に対して積極的に眼科医が投与していた、という背景がありました。しかしながら、その頃にCa拮抗薬はβ遮断薬に比べて心血管系の死亡率が高いことがデータとして出始め、2007年に報告された大規模スタディの結果、Ca拮抗薬を投与されていた人は、されていなかった人の1.8倍緑内障有病率が高く、β遮断薬では有意差がなかったという結果が出て以来、積極的なca拮抗薬による治療が行われなくなりました。このように、医学においては、理屈上正しいと思っても逆のデータが出ることがあり、2007年のデータも、もしかしたら今後否定されるかもしれません。現在でもCa拮抗薬の研究はなされており、有用性を示すデータがでていますので、Ca拮抗薬のどこがいいのか悪いのか、今後研究が積み重ねられ、緑内障に有用な薬物がでる可能性があると思っています。
八百枝先生、本当に迅速なご回答をありがとうございました。
自分の場合、血圧に関してはCa拮抗薬が不可欠に近いようなのでとても不安ですが、今は処方に従うしかないのでしょうね。
先生はこの領域の最先端の知見をお持ちのようですので、また質問させて頂きたいと思いますので今後とも宜しくお願いいたします。
シー様、ご質問のあと、内科の最新の話が分からなかったので、自分なりに再度調べたのですが、Ca拮抗薬の心血管系に対する悪影響については、今では否定されているようですね。また、2007年のデータにつきましても、大規模スタディにおいては、種々の交絡因子を除外して解析する場合、予想されたデータと逆のデータが出てしまうことがよくあります。かつ、その後、2007年のデータを支持する報告もないことから、現状、あまり心配なさらず、主治医の先生の指示に従い、不明な点がありましたらご質問なさるというスタンスがよいかと思います。
こんにちは。いきなりコメント失礼いたします。私は網膜色素変性症の続発症で黄斑浮腫があり、それに対してダイアモックス錠とエイソプト点眼液を処方されており、2つを併用してるので血圧低下に気をつけてと主治医から言われているのですが、やはり併用するとそんなに血圧が下がるものなんでしょうか??
ちなみに、私は他に持病はありません。
こんにちは。ダイアモックス錠につきましては血圧を下降させる作用を持っていますので、確かに長期に服用する場合には注意が必要ですが、主な副作用としては手足のしびれや、電解質異常などに伴う脱力や息苦しさ、尿路結石などもあります。何か不調がありましたら主治医に問い合わせて、薬物治療の継続の可否を聴いてみるといいかと思われます。エイゾプト点眼につきましては、全身的に重篤な副作用を来すことはまれと言われています。
こんにちは。とても貴重なご意見ありがとうございました。
私の眼科関係の友人が眼圧と血圧の関係について疑問をもっていたので、
このサイトでよく分かりました。
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