乳頭出血の危険因子

前にも本ブログでアップしましたが、乳頭出血とは、主に視神経乳頭縁にみられる線状の出血であり、緑内障発症や病期の進行の危険因子として知られている眼科的所見です。乳頭出血の発症原因は未だ不明ですが、近年では視神経乳頭にある篩状板の形状の変化により毛細血管が破綻し、乳頭出血が生ずるとする仮説があります。

本論文は、乳頭出血が生ずる危険因子を調べたもので、片頭痛、視神経乳頭辺縁部の菲薄化、交感神経β遮断薬の全身投与、低い収縮期血圧、低い眼潅流圧を挙げています。

http://www.ajo.com/article/S0002-9394(14)00072-5/abstract

4 thoughts on “乳頭出血の危険因子

  1. βブロッカー内服が乳頭出血のリスクと知ってショックです。
    内服により、血圧が下がったためか偶然か、眼圧が少し低くなり、プラスに働くかと思っていました。
    乳頭出血はしたくないです。
    この論文だけで判断していいのでしょうか。
    (血圧を下げないということではありませんが。)
    この、βブロッカーを内服した人は、なんのために飲んでいたのか、例えば緑内障の為に飲んでいたということもあるのでしょうか。
    どちらにしても、緑内障の治療には眼圧を下げねばならないが、眼圧が下がることがリスクを下げることにはならないのですね。
    (肥満や低血圧のものを見ると)

    βブロッカーは点眼では(結果的に)視神経を守るのに、内服では乳頭出血を起こすのでしょうか?
    それとも、乳頭出血は緑内障の悪化とは限らないのでしょうか?

    この件について、追加の検証が出ましたら、ブログでお知らせいただけると、嬉しいです。

    いつもビクビクしていまして、今回、とても詳しく教えてくださるブログを拝見し嬉しくて、長々と失礼しました。、

    1. りんご様、コメントありがとうございます。下記に回答させて下さい。
      βブロッカー内服で眼圧は下がります。こちらはきちんとしたデータがあります。また、血圧と眼圧は弱いながらも相関がありますので、血圧が下がったことによる眼圧下降はありえるお話と思います。最近眼圧が下がったとのことでしたら、実は季節変動がありまして、交感神経の働きと関連すると言われているのですが、夏は眼圧が下がることが知られております。
      乳頭出血におきましては、近年詳細な画像解析の結果、主には視神経障害が生ずる際に視神経乳頭近傍の構造的変化によって、血管が破綻することが主因と考えられるようになっています。ただし、いわゆる正常眼圧緑内障に多いことなど、未だ循環不全の結果生じているということの否定には至っていないとは言えます。とは言え、乳頭出血が起きたから視神経障害が生ずるのではなく、視神経障害の結果あるいは視神経微小循環障害の結果、乳頭出血が生ずると言えますので、乳頭出血を防ぐというよりは、眼圧を下げる、あるいは(それを支持ずる明確な報告はありませんが)眼循環を改善させることが緑内障治療に肝要と思われます。
      本論文は症例数が少ないため(それでも乳頭出血はすぐに消失するため、診療の場で遭遇すること極めて少ないことを考えますと、必ずしも少ないとは言えないのですが、精度の高い統計解析を行うという点で)、本来多変量解析の結果の精度は低いものと考えられ、まだまだ症例数を積み重ねないとはっきりしたことが言えないと思われます。本論文において、あるいはそうでなくてもβブロッカー内服は純粋に高血圧治療に用いられます。10年以上前に高次医療機関で行われていました緑内障治療のための循環改善療法(ほぼイコール高血圧治療)は、その有効性が疑問視されたため、現在行っているところはないと考えられています。
      βブロッカー内服者に乳頭出血が多かった理由として、本論文の筆者は、「βブロッカーを服用する群はすでに高血圧などの心血管系の異常を有しており、循環異常を来しやすい状況にある」ことを考えています。要するに、βブロッカー内服することが乳頭出血を起こしやすいのではないと考えています。

      改めて本論文を読ませて頂き回答いたしました。何か疑問点ございましたら、いつでも追加のご質問をお受けいたします。

  2. 改めて論文を読んでくださったとのこと。
    またご丁寧なお返事を、お忙しい中ありがとうございました。

    また、英語は苦手なので、ところどころを人に読んでもらったため、結論に気づかず大変失礼いたしました。

    もともとある循環障害のために出血を起こしているとすれば、βブロッカーはむしろその個人にとっては利益になっている(その人たちが飲まなければもっと増えたかもしれない)とも見えるので、簡単には飲んだ方がリスクがあるとは考えられないということでしょうか。

    また、乳頭出血はすぐに消えるとのこと、知りませんでした。ありがとうございます。
    βブロッカーと共に、血液をさらさらにするお薬などを飲んでいれば、消えるのに時間がかかり診察時に当たりやすい、出血しやすい、などもあるのかしらと、素人なので思います。
    とはいえ、オメガ3のサプリなど、どちらかというと出血しやすいものが、循環障害の改善に効くからか緑内障に良いと読んだりしますと、血流は良くしたい、でも出血は嫌、と、少しでも眼の環境を良くするにはどうしたらいいか、難しいことだと改めて思いました。

    また、他のことで質問させていただくこともあるかもしれませんが、ありがとうございました。

    1. りんご様、その通りと思います。βブロッカー内服が緑内障を悪くさせている、という明らかなデータはないものと思います。抗凝固療法を行っている方につきましては、乳頭出血が長引くということはありうると思います。しかしながら乳頭出血と抗凝固療法と発症頻度における関連性についての報告もないと思います。循環改善が緑内障によいのか?ということも結論がでておらず、破綻した(しかかった)血管の循環を良くすることで、出血やさらなる血管の破綻を招くのでは、という意見をだしている先生もいます。
      現状、循環改善療法が緑内障によいというデータはなく、あくまで眼圧を下げること以外に有効と認められた治療はないものと考えて頂けると幸いです。

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