「院長ブログ」カテゴリーアーカイブ
コンタクトレンズを用いた眼圧計
眼圧を定義している教科書は少ないので、正確な記載ができないかもですが、眼圧とは、基本的には眼球内部の圧力を言います。従いまして、真の眼圧を測るためには眼球内部にセンサーを挿入する必要があり、もちろん日常診療の場では不可能なことです。多くの眼圧計は、眼球に何らかの圧力をかけた後、どの程度眼球が変形するのかをみることにより測定がなされます。前述した通り、本来は一日の眼圧変動を知りたいことがあっても、家庭内で自分で測定することは安全とは言い難いものがあります。
近年コンタクトレンズにセンサーをつけて、眼圧(値ではなく変動)をみる装置が開発され、その安全性と有用性を示す論文が出てきています。
眼圧の変動
緑内障、またはその疑いのある患者さんは、1ヵ月~数ヵ月に一度の眼圧測定が必要となります。理由は、眼圧が時間や季節に応じて変化するためです。それもいつ、眼圧のピークやトラフがあるのかが決まっていれば問題はないのですが、人に応じてまちまちです。眼圧の変動について、緑内障診療ガイドライン(第三版)の記載から引用します。「眼圧には日内変動があり一般に朝方に高いことが多いが、個人によりパターンは異なる。また、眼圧には季節変動もあり、一般に眼圧は冬季に高く、夏季に低いことが知られている。眼圧に関連する因子として、年齢、性別、屈折、人種、体位、運動、血圧、眼瞼圧および眼球運動などが挙げられ、また、種々の薬物も眼圧に影響を与える。」。
通常の診療時間帯で眼圧が低いにも関わらず、視野障害が進行する場合、眼圧の日内変動が大きく、眼圧のピークが診療時間帯以外にあることが想定されます。その場合、検査入院として、一日眼圧を測定することがあります。
本日の新医院
OHTS calculatorの有用性
前述したOHT Calcというapplicationは、OHTS calculatorという数式が元になっております。この数式を用いて、他の大規模studyに当てはめた場合、きちんと予測できたという報告が最近なされました。とはいえまだ改良の余地があるようです。Aという集団を基に疾患の有無を判別する数式を作成した時に、他のB、Cという集団にその判別式が使えるかということに対しては、複雑な統計学的手法を用いなければなりません。今後改善された数式が出るのではないかと期待しています。
OHTS study
The Ocular Hypertension Treatment Study (OHTS)と呼ばれる、海外で行われた大規模な研究があります。要約しますと、高眼圧症に対し、眼圧下降治療を行う群と無治療群に分けて、5年間経過観察すると、前者では4.4%、後者では9%が緑内障に移行したという報告です。また、緑内障に移行しやすい危険因子としては、①高齢、②視神経乳頭陥凹拡大、③軽微な視野異常(高いpattern standard deviation)、④高眼圧、⑤薄い角膜厚が同研究で示されました。これらの危険因子を計算式に当てはめ、5年後に自分が緑内障になるかどうかの確率を計算するi phone appがあります。ただし、この計算は、医療機関でないとわからない数値を入力しないといけませんので、一般的ではないこと、あくまで欧米人のデータに基づいた計算式ですので、日本人に当てはまるかは保証できないこと、に留意ください。
高眼圧症
「緑内障の本態は進行性の網膜神経節細胞の消失とそれに対応した視野異常である緑内障性視神経症(glaucomatous optic neuropathy: GON)である」と以前述べました。一方、眼圧が統計学的に高い数値であっても、視神経症を生じない一群があります。それが高眼圧症です。とは言え、経過観察中に視神経症が生じ、緑内障に移行する例も少なくありません。緑内障診療ガイドライン(第三版)による定義は以下の通りです。「眼圧など房水動態の点では原発開放隅角緑内障と共通する特徴を有しながら、視神経の特徴的形態変化ならびに視野異常の存在を欠く病型を高眼圧症(ocular hypertension)と呼ぶ。原発開放隅角緑内障の前段階とする考え方がある一方、視神経の眼圧抵抗性の強い症例とする考え方がある。高眼圧症から緑内障へ進行しやすい症例の背景として、緑内障の家族歴、血管因子、加齢、人種、屈折異常などが知られている。また、角膜厚が厚いほど眼圧が高く評価されることに留意する必要がある」。
治療としては、まずは経過観察を行い、「繰り返し眼圧20mmHg台後半を示すような例、緑内障家族歴などの危険因子のある場合には、耐用可能な点眼薬で治療を行う」とされています。中には落屑緑内障や遅発型発達緑内障などが含まれていることがあり、経過観察はしっかりと行う必要があるものと考えております。
本日の新医院
点眼液の管理
Tsaiらの報告(2007)を引用します。
目薬の正しいさし方
正しい点眼法は種々報告がありますが、ここではZimmerman (1984)の方法を示します。


