昨晩新医院建築の第6回打ち合わせ会議がありました。全体の78%の進捗状況で、順調とのことでした。
「院長ブログ」カテゴリーアーカイブ
本日の新医院
抗血管内皮増殖因子阻害薬と緑内障
近年、加齢黄斑変性や網膜静脈閉塞に伴う黄斑浮腫に対する治療は、抗血管内皮増殖因子阻害薬の硝子体注射が主流となってます。本治療は、長期間の有効性が少ないため、繰り返し行うことが多いことが特徴となっています。昨年同薬の繰り返し投与で、眼圧が上がるという報告がなされました。
http://www.aaojournal.org/article/S0161-6420(11)00755-X/abstract
原因は、注射そのものの炎症や薬物毒性による線維柱帯の障害などが考えられていますが、最新の報告では、繰り返し投与自体は眼圧に影響しないことが示唆されました。しかしながら、一部の症例で眼圧が上がるため、モニタリングは必要となります。
本日の新医院
若年性緑内障について
若年性緑内障(juvenile glaucoma)は、原発開放隅角緑内障の亜形のように捉えられていて、わたくしどもが使う教科書でもわずかな記載があるのみですが、緑内障専門医としては是非とも啓蒙したい疾患です。先ほど閲覧した米国眼科学会の会員用メールで、初めてきちんとした記載がなされていたのを拝読したので、こちらに紹介したいと思います。会員用メールですので、URLは貼りませんが、ご了承ください。
若年性緑内障は発症年齢から2群に分けられていて、5歳~35歳までと、35歳以上とのことです(欧州緑内障学会のガイドラインでは10~35歳です)。有病率は50000人に一人で、多くは常染色体遺伝をし、その他は原発開放隅角緑内障とほぼ同様の臨床所見がみられるのですが、大事なことは(多くの教科書で記載がなされていないことは)、40mmHg以上の眼圧上昇をみることがあり、稀に頭痛を契機にみつかることがあるということです。もちろん無自覚なことが多く、発見された時には重症なことがあり、点眼治療でも不十分で、多くは手術治療が必要となります。
若年性緑内障をスクリーニングすることは困難で、若くとも、何かあったら眼科にかかることが肝要と思います。特にコンタクトレンズ処方時はいいきっかけとなると思います。また、緑内障の家族歴(特に眼圧が高い緑内障)がある場合には、積極的な眼科受診をおすすめします。
本日の新医院
片頭痛と緑内障
緑内障の発症および病期の進行に、眼循環や全身循環の低下が関与されていることが多くの報告で示唆されています。古典的に片頭痛と緑内障の関係についての報告もいくつかあります。一般的に片頭痛は頭部や三叉神経を栄養する血管が拡張することにより生じることが言われていますが、このような循環の変化が大きい人は緑内障になりやすいと考えられています。
本論文では、眼組織の深部である脈絡膜(血管が豊富な組織)を観察できる新しい光干渉断層計(enhanced depth imaging optical coherence tomograph)を用いて、片頭痛患者の脈絡膜厚を測定したところ、発作時や頭痛が起こった側の眼の脈絡膜厚が厚くなっていることを報告しています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24574436
白内障手術の精度
白内障手術は、濁った水晶体を除去して、人工の眼内レンズに入れ替える手術ですが、眼内レンズの度数については、患者さんの希望などに応じて術前に予測して決定されます。しかしながら、術後に予測値からはずれてしまい、強い度数の眼鏡装用が必要なケースもあります。ただし、近年では、検査機器の精度の向上や、度数の換算式の改良などにより、そのような度数のずれを起こすケースが少なくなっています。
本論文では、白内障術後90日以内には94%の例で、術前に予測した度数にほぼ合致した度数が得られたと報告しています。
http://www.aaojournal.org/article/S0161-6420(13)00842-7/abstract
花粉症の季節が始まりました!
昨日今日と、毎年花粉症で受診なさっている患者さんが、多数来院されました。お話を伺いますと、2月24日頃発症、pm2.5が飛散した26日に悪化したというケースがほとんどのようです。
速報では、まだ長岡市での花粉の飛散は少ないのですが、季節性アレルギー性結膜疾患の治療は季節前に治療を開始すると効果的と言われています。花粉症をお持ちの方は、専用の眼鏡装用をお奨めします。
血管新生緑内障の治療
血管新生緑内障とは、糖尿病網膜症や網膜中心静脈閉塞症などの眼虚血性疾患において、虚血状態を補償するために新生血管や膜状物質が発生し、それらが房水の出口である隅角部を覆い、房水が排出されないために生ずる難治緑内障です。血管新生緑内障の治療として、緑内障診療ガイドライン(第三版)では、原疾患の治療(レーザーなど)のほか、「原発開放隅角緑内障に準じて薬物治療を行うが、…血管新生緑内障に対して抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor: VEGF)薬の眼内投与の有効性が報告されており、短期的な症状緩和や手術成績の向上に有効である。」、「線維柱帯切除術(代謝拮抗薬併用/非併用)を行う。レーザー線維柱帯形成術は無効であるばかりではなく有害である。」としています。
本論文は、抗VEGF抗体の点眼により、眼圧下降に一定の効果がみられ、かつ新生血管の退縮も一部にみられたと報告しています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24556733