今日の長岡市は晴れです。
新医院も足場が撤去され、外観がよくわかるようになりました。
以前にも報告を紹介しましたが、女性の閉経後のホルモン投与と緑内障には関連があります。網膜神経節細胞にはエストロゲンレセプターがあり、エストロゲンが神経保護の役割を担っている可能性があることが示唆されています。また、眼圧下降効果もあるという報告もあります。
本論文においても、閉経後の女性に対するエストロゲンが投与された例では、緑内障の有病率が低かったことを示唆しています。
https://archopht.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1815980
原発開放隅角緑内障(広義)の中で、特に正常眼圧緑内障については、眼循環の影響が病因のひとつとして挙げられています。古典的に正常眼圧緑内障では、(眼圧が健常人の正常範囲を超える)原発開放隅角緑内障(狭義)と比較すると、下方の視野障害が起きやすいと言われており、また、夜間や早朝に低血圧を生じていたり、血圧の変動が大きかったりする患者さんが多いと言われ、そのため正常眼圧緑内障の一部に、虚血性視神経症が含まれているのではないかと示唆されてきました。
本論文では、原発開放隅角緑内障(広義)では、眼灌流圧(眼底血圧―眼圧がもとの式で、一般的に眼底血圧は全身血圧から換算されます)の変動の大きさと視神経障害、視野障害の程度に相関があったと報告しています。
昨日より長岡市の花粉飛散量が増加しているようです。当院に受診なさる方も増えております。
緑内障の診断や病期の進行判定において、視野検査は欠かすことのできない検査です。緑内障診療における一般的な視野検査は、ハンフリー視野計によって行われ、中心視野30度以内または24度以内の光に対する感度を精査します。しかしながらこれらのプログラムでは、視機能に関わる中心10度以内を精査することが難しく、また、中心24度以内のプログラムで正常と判定されても中心10度以内のプログラムで異常と判定される例もみられることが近年報告されるようになってきました。それに伴い、中心10度以内の病期の進行判定法を確立する必要性が出てきました。
本論文では、中心10度以内の各測定点をいくつかのセクターに分類し、セクター内の平均閾値の変化をプロットする方法を用いて、新たな進行判定法を確立しました。いずれこのような方法が一般臨床の場で活用されるかと思われます。
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0161642013009433?cc=y
光干渉断層法(Optical Coherence Tomography; OCT)は、光の干渉現象を応用して、主として眼底の微細な構造を、高解像度の断層像として表す画像解析法です。従来のOCTは光の干渉を実空間(時間領域)で行うものでしたが、近年多くの施設で用いられているOCT装置、spectral-domain OCTは、光波の干渉をフーリエ空間で行うことにより、時間分解能および空間分解能が著しく向上し、より詳細な眼底構造を観察することが可能になりました。緑内障診断においても、網膜神経節細胞が集中している黄斑部を微細に解析することにより、より早期での緑内障発見が可能となりつつあります。
本論文では、緑内障眼とpreperimetric glaucoma(眼底に緑内障性変化がみられるものの、視野に異常所見がみられない状態)眼とで黄斑部の解析をしたところ、平均2.54年の経過観察期間で、両眼とも下方の黄斑厚の菲薄化の進行が観察され、その程度はpreperimetric glaucoma眼より、緑内障眼で強かったことを報告しています。
落屑緑内障とは、落屑物質によって房水流出抵抗が上昇することにより発症する、比較的高齢者にみられる続発緑内障です。有病率は低いものの、眼圧コントロールが難しく、また、比較的眼圧を低く抑えても視神経障害、視野障害が進行しやすいことが知られています。その一因として、原発開放隅角緑内障と比べて、眼圧の変動が大きいことが挙げられています。
本論文では、原発開放隅角緑内障患者と落屑緑内障患者とで体位変換による眼圧変動を調べたところ、臥位では落屑緑内障の方が眼圧変動幅が大きかったことを報告しています。