「院長ブログ」カテゴリーアーカイブ

開放隅角緑内障患者における散瞳後の眼圧変化について

眼科診療において、検査や治療のために薬物により瞳孔を散大させることはよく行われていることです。原発閉塞隅角症においては、散瞳後に急激な眼圧上昇を来す急性緑内障発作を起こしうるので、注意が必要です。一方で、開放隅角緑内障眼や健常眼においても眼圧が変化しうることも知られています。

本論文では、落屑緑内障、原発開放隅角緑内障および健常眼において、散瞳前後の眼圧変化を調べたところ、平均値では健常眼で散瞳後に低下したものの緑内障眼では変化がなく、また、落屑緑内障眼の28.3%、原発開放隅角緑内障眼の16.7%で眼圧上昇がみられたことを報告しています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24682599

アメリカにおける失明原因(人種による違いについて)

アメリカは代表的な多民族国家で、同じ生活環境で、人種による疾病や治療効果の違いを調べるために、疫学的には有用な調査場所と言えます。現時点において、白人やヒスパニックの失明原因の第一位は加齢黄斑変性で、アフリカ系アメリカ人では白内障が一位になっています。また、アフリカ系アメリカ人やヒスパニックでは、白人よりも緑内障による失明者が多いことが特徴で、今後アメリカでは、白人の人口が減少するに伴い、緑内障有病率が上昇することが予想されています。

http://one.aao.org/eye-disease-statistics

小児に対する花粉症対策用の眼鏡装用につき

今年は花粉飛散量が少なく、花粉症を有する方におかれましても、症状が軽いのではないかと推測されます。

花粉症対策として、防御用眼鏡を用いることがありますが、小児の場合、外傷などによる重篤な被害が消費者庁を通じて報告されています。くれぐれもお気をつけください。

http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20130221_2.html

シリコーンオイル眼に対する選択的レーザー線維柱帯形成術

網膜剥離などに対する硝子体手術に対して、剥がれた網膜を復位させるために、タンポナーデの役割として、ガスやシリコーンオイルを眼内に注入することがあります。これらは当然タンポナーデとして、網膜に圧力を加えて剥離を治すわけですので、眼圧も上がることがあります。それらの眼に対して濾過手術のような緑内障手術は、せっかくのタンポナーデの効果を落とす結果になるので、治療の選択肢にはなりにくいところがあります。

本論文では、シリコーンオイル眼で、選択的レーザー線維柱帯形成術を行った結果、眼圧が下がったことを報告しています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24671473

落屑症候群患者の死亡率

落屑症候群は、眼組織が線維性細胞外物質である落屑物質を産生し、水晶体や虹彩、隅角に進行性に付着し、続発緑内障や白内障を発症させる疾患群です。落屑物質は眼組織のみならず、皮膚や心臓、肺、肝臓などの全身臓器にも存在することが知られており、中でも、血管内皮に存在した場合、眼循環のみならず、全身循環が低下すると考えられ、心血管系疾患を生じやすいとしています。

本論文は、落屑症候群が生じた群と健常群と死亡率を比較した報告ですが、差がなかったとしています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24674619

本日の新医院

今日も長岡市は快晴です。多くの方から新医院建築のためにご尽力頂いているのですが、最近は天候がよくなったせいか、朝6時代には既に作業して下さっている方々を見受けます。頭が下がります。

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亜急性原発閉塞隅角緑内障の診断について

緑内障診療ガイドラン(第三版)によれば、原発閉塞隅角緑内障の分類の中で、発症速度による分類では、「急性」と「慢性」が定義されているものの、その中間型である「亜急性」または「間欠性」は明確には定義されていません。欧州緑内障学会が発行している緑内障ガイドラインでは、「急性に類似しているが、より弱い臨床所見しかなく、自然に寛解する」と定義されています。すなわち、自覚症状があったとしても、眼科医院にかかる時には隅角所見以外には臨床所見に乏しく、診断しづらいことが考えられます。しかしながら、繰り返す発作により、視神経が次第に障害され、不可逆的な視機能障害を起こしうるため、やはり早期診断が必要になります。

本論文によると、亜急性原発閉塞隅角緑内障の唯一の自覚的所見は頭痛であり、多くは週1~2回の頭痛を経験していて、眼痛、前頭部痛、片頭痛様の症状があり、頭痛から緑内障診断までの平均期間は実に2.6年ということです。緑内障専門医に受診するきっかけは他科からの紹介が多く、73%は3人以上の他科の先生の診察を受けていたということです。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24677021