眼科診療において、検査や治療のために薬物により瞳孔を散大させることはよく行われていることです。原発閉塞隅角症においては、散瞳後に急激な眼圧上昇を来す急性緑内障発作を起こしうるので、注意が必要です。一方で、開放隅角緑内障眼や健常眼においても眼圧が変化しうることも知られています。
本論文では、落屑緑内障、原発開放隅角緑内障および健常眼において、散瞳前後の眼圧変化を調べたところ、平均値では健常眼で散瞳後に低下したものの緑内障眼では変化がなく、また、落屑緑内障眼の28.3%、原発開放隅角緑内障眼の16.7%で眼圧上昇がみられたことを報告しています。