東日本大震災発生直後、宮城県眼科医会が中心となり、震災被災者への高いレベルでの眼科医療支援を提供する目的で、眼科医療支援車両「ビジョンバン」が運行されました。その後も眼科健診車両として、現在でも東北地方を中心にビジョンバンは活躍しています。
http://www.visionvan.jp/index.html
本論文では東日本大震災発生後の宮城県におけるビジョンバンの活躍を報告しています。
東日本大震災発生直後、宮城県眼科医会が中心となり、震災被災者への高いレベルでの眼科医療支援を提供する目的で、眼科医療支援車両「ビジョンバン」が運行されました。その後も眼科健診車両として、現在でも東北地方を中心にビジョンバンは活躍しています。
http://www.visionvan.jp/index.html
本論文では東日本大震災発生後の宮城県におけるビジョンバンの活躍を報告しています。
緑内障診療において、眼圧測定は欠かせない検査ですが、眼圧測定法の多くは角膜を介して眼球に圧力を加え、反発する力や速度などを観察することにより行われます。よって、角膜の強度が変化した場合、正確な眼圧測定が困難となります。
LASIK(レーシック)などの屈折矯正手術は、角膜の屈折を手術的に変化させるもので、当然角膜の強度が術後変化します。レーシックでは角膜を薄く削るため、強度が弱くなり、スタンダードな眼圧計であるゴールドマン眼圧計では眼圧が低く測定されてしまいます。そのため、レーシック術後に緑内障を発症した場合には、 Dynamic Contour Tonometerや Tonopen®といった特殊な眼圧計での経過観察が必要となることがあります。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24807062
欧州緑内障学会ホームページからの情報です。基本的に緑内障とサプリメントとの関連についてのランダム化比較試験などは行われてはいないものの、果実や野菜、ω3脂肪酸の摂取は緑内障のリスクを低くさせる効果があるという報告があるようです。一方、マグネシウムの多量摂取は緑内障のリスクを高めるという報告もあるとのことです。
乳頭出血とは、視神経乳頭内または辺縁に線状の出血としてみられるものです。乳頭出血の最初の報告は1889年で、緑内障患者に多いことが示唆されました。その後時を経て、1970年にDrance先生が緑内障性視神経障害との関連性についての報告を行い、現在では緑内障発症および病期の進行の重要な危険因子として多くの研究がなされています。乳頭出血の近傍では、視神経辺縁部のノッチや網膜神経線維層厚欠損、乳頭周囲網脈絡膜萎縮がみられ、健常眼では稀にしかみられませんが、緑内障患者の4~7%にみられるといわれています。また、一度出血すると再発することが多いことも特徴です。乳頭出血がみられた場合には、63%に視野障害進行がみられ、79%に進行性の視神経障害がみられるとの報告もあり、その場合より積極的な緑内障治療が必要と考えられています。乳頭出血がみられた緑内障患者に眼圧下降治療を行った場合に、視野障害進行の程度が遅くなったという報告もあります。
とは言え、乳頭出血の病因も不明で、血管障害のために視神経障害が起こるのか、視神経障害が生じていく過程で、血管が破綻するのかも議論の最中です。更に問題なのは、乳頭出血は数カ月で消失してしまうため、経過観察中に見過ごしてしまう可能性があるということです。まだまだ研究が必要な分野と言えます。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20541265
以前にもお話しましたように、睡眠時無呼吸症候群は緑内障の危険因子ではないかとの報告が近年多数報告されています。理由としては、眼循環不全や、CPAPと呼ばれる気道に圧をかける治療が、眼圧を上げているのではないか?などというという仮説が考えられています。しかしながら、睡眠時無呼吸症候群では、種々の合併症を有していることが多く、それらが緑内障発症に影響を与えている可能性もあります。
本論文は、9580人の睡眠時無呼吸症候群が疑われる患者を対象とし、心血管系因子や肥満、呼吸器に関する因子の影響などを考慮した結果、緑内障の危険因子として挙げられたものは、年齢、低いbody mass index、女性、高血圧、高い中性脂肪、甲状腺機能異常であり、睡眠時無呼吸症候群と緑内障との関係はなかったと報告しています。
近親者に緑内障患者がいた場合、緑内障を発症する危険率が上がることは既に多くの報告でなされています。本論文では、健常眼において、緑内障家族歴の有無で、光干渉断層計(Optical coherence tomograph: OCT)を用いて網膜神経線維層厚や黄斑部の網膜厚を測定したところ、家族歴がある群の方が有意に薄かったと報告しています。緑内障家族歴があった場合には、早期の眼科検査が必要となります。
緑内障診療ガイドライン(第三版)によれば、原発閉塞隅角緑内障の治療の第一選択は、「レーザー虹彩切開術あるいは虹彩切除術による瞳孔ブロック解除」であり、いずれも比較的安全にかつ簡便に行える治療です。しかしながら、レーザー虹彩切開術後については、水疱性角膜症などの重篤な合併症を生ずることがあり、治療の適応には十分な配慮が必要です。本治療の合併症の中で、2.7%~4.0%の割合で、光輪症や羞明、影がみえるなどの みえ方の異常を訴える患者さんがいます。多くは時間とともに症状は軽減しますが、何とか避けたい合併症の一つです。
レーザー虹彩切開術の切開孔の位置は、上眼瞼で隠してそれらの見え方の異常を軽減させるなどの理由で、従来まで上方の虹彩で行うことが多かったのですが、本論文では、上方と耳側との比較を行った結果、耳側の方が見え方の異常を訴える患者さんが少なかったと報告しています。理由は涙液層のプリズム効果の有無を挙げています。
補償光学とは、「宇宙から地球を撮影したり、地球から宇宙を撮影するときに問題となる大気の揺らぎを光電子的に解決するために開発された光学技術」であり、眼底撮影においても、水晶体や硝子体などによる揺らぎや各種収差を補正することにより詳細な観察が期待されており、補償光学を応用した技術が待ち望まれていました。
本論文は、補償光学を応用した光干渉断層計(optical coherencetomograph)を用いて、視神経の支持組織である篩状板の観察をしたという報告です。リンク先で画像がみれますが、極めて詳細な構造が観察できるようです。
緑内障は不可逆性の疾患であるため、障害されてしまった視神経や視野は改善されないと考えられています。一方、神経には可塑性があり、何らかの方法でわずかばかりですが改善されるのでは?とも考えられています。方法としては、一つは神経保護で、薬物治療などの報告がわずかですが存在します。もう一つはトレーニングです。
本論文では、コンピュータを用いて、視野検査のようなトレーニングを行うことにより、わずかですが、視野障害が改善されたと報告しています。ただし、所謂学習効果による影響も考えられ、神経の可塑性に働いているのではなく、単純に検査慣れにより改善されていた可能性も示唆しています。