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ドライアイのチェック

まだまだ乾燥した寒い気候が続きます。ドライアイの症状で来院される患者さんは暖かい時期より多いです。以下にドライアイ研究会が提唱するチェック項目を示します。

□目が疲れる
□目が乾いた感じがする
□ものがかすんで見える
□目に不快感がある
□目が痛い
□目が赤い
□目が重たい感じがする
□涙が出る
□目がかゆい
□光を見るとまぶしい
□目がごろごろする
□めやにがでる

5項目以上該当したらドライアイの疑いがあります。また、10秒間瞬きを我慢できるか?というチェック方法もあります。症状が強いようでしたら、眼科受診を勧めます。

流行性角結膜炎

本来夏期に流行するウイルス性結膜炎である、はやり目(流行性角結膜炎)の患者さんが、暖冬のせいか、今でも眼科受診なさる方が多く見受けられます。直接接触やタオルなどの媒介物を通じて感染すると言われています。学校保健安全法における第三種感染症に該当し、子どもの場合は罹患すると、幼稚園、保育園その他各種学校において出席停止扱いになります。特にお子様がおられるご家庭では十分お気を付け下さい。また、強い目やに、充血がみられた場合には速やかに眼科を受診して下さい。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23473088

3D OCT-1 Maestro

光干渉断層法 (Optical coherence tomography; OCT)は、光の干渉現象を応用して、主として眼底の微細な構造を、高解像度の断層像として表す画像解析法です。緑内障や網膜疾患などの診断に大変有用な検査機器で、院長は以前眼科医向けに総説を執筆したこともあります。

OCTによって緑内障診療の何が変わるか ─後眼部OCT(3)─3D OCT-2000

新医院に移転するにあたり、ジョイスティックはなく、タッチパネルでの操作が可能で、簡便で素早い画像取得および解析ができるOCT(3D OCT-1 Maestro)を導入することになりました。本日現医院でデモを行いましたが、オートアラインメント機能に優れ、撮影時間も短く、検者、被験者とも負担が少ない優秀な器械と思いました。

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年末年始の休診日

読者の方からお問い合わせがありましたが、現医院は本日12月30日(月曜日)から1月3日(金曜日)までお休みを頂いております。皆様方にはご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願い申し上げます。なお、新年は1月4日(土曜日)から診療を開始いたしますが、通常通り当日は午前のみの診療となります。

私って目がいいんですよ

「だから目医者さんって初めてかかるんですよ」とお話しされるご高齢の方が結構見受けられます。眼科医としては、ドキッとします。原発閉塞隅角緑内障の可能性があるからです。

「目がいい」=「正視または遠視」の可能性が高く、その場合、眼球の形状が他の人に比べて小さい可能性があり、房水(眼球内を循環する透明な血液)の流出路である、隅角が狭いケースが多く見受けられます。

隅角は加齢に伴い、眼内の水晶体の膨隆や前方移動のために狭くなる方がいます。原発閉塞隅角緑内障であった場合、レーザーや手術治療が必要なことが多く、「目がいい」方こそ、眼科に受診する必要があると思います。

眼病とサプリメント

昨日も診療中にご質問がありました。「納豆って目に悪いんですか?」。血流を良くするという意味で、いい効果もありそうですが、出血傾向も増えそうで、いいとも悪いとも言い難いです。その後自分なりに調べてみたのですが、特に研究がなされているという訳ではないようです。

「ブルーベリーが目にいい」という話はよく聴きます。しかしながら、はっきりとした研究結果が出ている訳ではありません。とは言え、個人的にはサプリメントを使用することは基本的には否定しません。と言いますのも、「日常生活の中で、自分の眼を何とかしたい!」という意志は尊重すべきと思うからです。病気に関心を持つ、ということは治療を成功に導くいいきっかけだと思いますし、そのような人ほどアドヒアランスがいいと考えるからです。更には、いろんな生活習慣やサプリメントなどを試すことによって、何が効いて何が効いてないかを類推し、それが後々きちんとした研究成果に表れることもありうるからです。

注意すべき点は三つあります。ひとつは、基本的には、医療機関で処方される薬物は、それなりに根拠があって使用される訳で、それら薬物を否定して、根拠の薄いサプリメントを求める姿勢はよくないと思われます。一つは、高額なサプリメントは控えるべき、ということです。あくまで日常生活の中で、負担がない程度に抑えるべきです。最後の一つは、理屈上効くと思われていたサプリメントが、後に逆効果が示される可能性があり、十分な配慮が必要ということです。加齢黄斑変性に効くと考えられていたβカロテンが、喫煙者には癌を風発する作用を有することが示されたのが一例です。何事も程々に、と思われます。

点眼液の管理

Tsaiらの報告(2007)を引用します。

¢25.4%は点眼瓶の先を眼球に触れてしまい、15.8%は点眼前の手洗いを全くしない
¢点眼液の汚染を考えると、点眼液は1カ月で使い切るのが望ましい
¢点眼瓶の保管について、適温の上限が25℃であるものが多く、風呂場や台所の保管は勧められない
¢冷蔵庫の保管も凍るくらいの温度になることがあり、注意すべきである

目薬の正しいさし方

正しい点眼法は種々報告がありますが、ここではZimmerman (1984)の方法を示します。

¢眼瞼縁(まぶたの縁)に近い下眼瞼(下まぶた)を親指と人差し指でつまむ
¢少しひっぱり下結膜嚢のパウチ(ふくろ)をつくる
¢点眼瓶の先はどこにも触れないようにする
¢点眼瓶の先を直視できる位置にもっていく
¢点眼をする直前に上方視(自分の額をみる)し、パウチ内に点眼液が貯まるようにする
¢点眼したら閉瞼し、鼻涙管部(めがしら)を2分間圧迫する
少し違いますが、製薬会社のサイトも示します。
ポイントは、①下まぶたに点眼液が貯まるようにすると効果的、ただし2滴以上いれても溢れるだけで効果が上がるわけではない ②点眼瓶の先をまつげや眼球に当てないように注意する ③点眼瓶の後ろを押すことにより、過剰に点眼液が出るのを防げる ④最後にめがしらを押さえて、全身に点眼液がまわらないようにする一方、眼球に効果的に浸透させる工夫をする、といったところでしょうか?

いつまで目薬をさすべきなのでしょうか?

緑内障治療薬を使用している患者さんによく聴かれる質問です。「(少なくともお元気なうちは)一生です」とお答えするしかありません。

緑内障で失明するリスクは(外傷や手術の合併症で低すぎることがない限り)眼圧が低ければ低いほど低下します。また、緑内障は年齢と関係があり、網膜神経節細胞は健常人であっても年齢とともに減少し、理論値では150歳になれば全員緑内障になると言われています。その方の余命が何歳であるのかが分からない以上、「一生」とお答えするしかありません。

緑内障診療ガイドラインにも書かれていますが、以上の理由もあり、医者側としては「薬物治療の原則は必要最小限の薬剤と副作用で最大の効果を得ることである」必要があり、その方の「QOL、治療にかかわる費用、アドヒアランスなどへの配慮」も必要となります。

緑内障診療ガイドライン第三版