成人の失明原因の上位に位置する加齢黄斑変性は、新生血管からの出血などが原因で、急激な視力低下を来すこともある難治な疾患です。現状では、血管内皮増殖因子阻害薬の硝子体内注射(眼内に注射)が治療の主流で、一定の効果はあるものの、薬物を投与する手技の関係で、安全性に問題があります。
本論文は新しい薬物、パゾパニブというマルチキナーゼ阻害薬内服により、加齢黄斑変性症例に一定の効果があったという内容です。
成人の失明原因の上位に位置する加齢黄斑変性は、新生血管からの出血などが原因で、急激な視力低下を来すこともある難治な疾患です。現状では、血管内皮増殖因子阻害薬の硝子体内注射(眼内に注射)が治療の主流で、一定の効果はあるものの、薬物を投与する手技の関係で、安全性に問題があります。
本論文は新しい薬物、パゾパニブというマルチキナーゼ阻害薬内服により、加齢黄斑変性症例に一定の効果があったという内容です。
抗酸化物質とは、生体内、食品、日用品、工業原料において酸素が関与する有害な反応を減弱もしくは除去する物質の総称で、食品においては、野菜、果物、穀物、卵、肉、マメ、木の実などの食品に多量に含まれていると言われています。
本研究では、抗酸化物質を摂取すると加齢性白内障のリスクが低くなることが示されました。
メールをスパムかそうでないか、を判定させる方法としてMachine learning classifierという統計学的手法が用いられています。これは人工知能の一種で、AというメールはスパムでBというメールはスパムではない、と機械に教え込ませて、判定精度を向上させる方法です。
本論文は、光干渉断層計(OCT)で、Machine learning classifierを用いた緑内障診断を行っても、その診断力が向上しなかった、というものです。前述の通り、それだけ眼底所見のみの緑内障診断は困難であると言えます。
院長が新潟大学眼科緑内障外来で勤務していた頃、イチョウの葉エキスが眼循環改善や神経保護に効果的という報告がいくつかみられ始め、2008年に香港で行われたWorld Ophthalmology Congressにおいても多数の報告がありました。その後も中国を中心に多数の有用な報告がなされました。
最新の本論文はその反証です。イチョウには緑内障性視野障害改善の効果がないという結論です。
対象や研究方法の違いにより、研究結果が異なることはよくあることです。ですので、一つの研究結果を鵜呑みにすべきではありません。長年にわたる研究結果の積み重ねにより、信頼ある研究結果が導かれます。今後の研究に期待したいものです。
ブルーベリー摂取による眼病予防や改善の効果は、明らかなエビデンスがないと前述しました。最近、同じアントシアニンを含有するビルベリー摂取により、緑内障性視野障害が改善したという報告がありました。本報告では、イチョウの葉エキスも有用であるとのことです。
しかしながら、反証もありますので、十分留意して下さい。
眼圧を定義している教科書は少ないので、正確な記載ができないかもですが、眼圧とは、基本的には眼球内部の圧力を言います。従いまして、真の眼圧を測るためには眼球内部にセンサーを挿入する必要があり、もちろん日常診療の場では不可能なことです。多くの眼圧計は、眼球に何らかの圧力をかけた後、どの程度眼球が変形するのかをみることにより測定がなされます。前述した通り、本来は一日の眼圧変動を知りたいことがあっても、家庭内で自分で測定することは安全とは言い難いものがあります。
近年コンタクトレンズにセンサーをつけて、眼圧(値ではなく変動)をみる装置が開発され、その安全性と有用性を示す論文が出てきています。
前述したOHT Calcというapplicationは、OHTS calculatorという数式が元になっております。この数式を用いて、他の大規模studyに当てはめた場合、きちんと予測できたという報告が最近なされました。とはいえまだ改良の余地があるようです。Aという集団を基に疾患の有無を判別する数式を作成した時に、他のB、Cという集団にその判別式が使えるかということに対しては、複雑な統計学的手法を用いなければなりません。今後改善された数式が出るのではないかと期待しています。
The Ocular Hypertension Treatment Study (OHTS)と呼ばれる、海外で行われた大規模な研究があります。要約しますと、高眼圧症に対し、眼圧下降治療を行う群と無治療群に分けて、5年間経過観察すると、前者では4.4%、後者では9%が緑内障に移行したという報告です。また、緑内障に移行しやすい危険因子としては、①高齢、②視神経乳頭陥凹拡大、③軽微な視野異常(高いpattern standard deviation)、④高眼圧、⑤薄い角膜厚が同研究で示されました。これらの危険因子を計算式に当てはめ、5年後に自分が緑内障になるかどうかの確率を計算するi phone appがあります。ただし、この計算は、医療機関でないとわからない数値を入力しないといけませんので、一般的ではないこと、あくまで欧米人のデータに基づいた計算式ですので、日本人に当てはまるかは保証できないこと、に留意ください。
強い視野障害を持つ人が、QOLのうえで、何に一番困るのかを調べた論文です。なじみの場所での日中のドライブと道の脇にある障害物を避けて歩くことという結果でした。
http://www.aaojournal.org/article/S0161-6420(13)00888-9/abstract
アジア人に近視が多いことはいくつかの報告がなされています。しかしながら、本当に人種によるものか、環境因子も関与しているのかを証明することは困難です。
本報告はロスアンジェルスに住む(すなわち同じ環境下にいる)未就学児の屈折を多数令で人種毎に比較したもので、やっぱりアジア人に近視が多かったというデータです。
ただし、例えば「アジア人が近業時間が長い」かもといったバイアスが排除されてはいないので、本当に人種が関係しているのかは未だ不明と思われます。