アトピーは免疫の調節異常が起こっていて、ウイルス感染にかかりやすいことが推測されますが、実際に多数例で調べた調査では、アトピーを有する患者の方が、健常人よりもヘルペス性眼疾患にかかりやすいという論文です。
「眼についての最新情報」カテゴリーアーカイブ
緑内障と外出
緑内障性視野障害を持つ人は、持たない人に比べて外出や旅行に行く機会が少なく、障害が高度であればそれだけ自宅に留まる傾向が高まる、という報告です。
喫煙と眼圧
日本人を対象とするデータですが、血圧や体重とともに、喫煙が眼圧を上げるという報告がでました。
飲酒または喫煙と緑内障の関係
従来から、アルコール摂取も喫煙も緑内障を悪化させると言われていましたが、どちらかというと喫煙の方が良くない、という報告です。
加齢黄斑変性に対するパゾパニブ内服
成人の失明原因の上位に位置する加齢黄斑変性は、新生血管からの出血などが原因で、急激な視力低下を来すこともある難治な疾患です。現状では、血管内皮増殖因子阻害薬の硝子体内注射(眼内に注射)が治療の主流で、一定の効果はあるものの、薬物を投与する手技の関係で、安全性に問題があります。
本論文は新しい薬物、パゾパニブというマルチキナーゼ阻害薬内服により、加齢黄斑変性症例に一定の効果があったという内容です。
抗酸化物質と白内障
抗酸化物質とは、生体内、食品、日用品、工業原料において酸素が関与する有害な反応を減弱もしくは除去する物質の総称で、食品においては、野菜、果物、穀物、卵、肉、マメ、木の実などの食品に多量に含まれていると言われています。
本研究では、抗酸化物質を摂取すると加齢性白内障のリスクが低くなることが示されました。
人工知能を用いた光干渉断層計による緑内障診断
メールをスパムかそうでないか、を判定させる方法としてMachine learning classifierという統計学的手法が用いられています。これは人工知能の一種で、AというメールはスパムでBというメールはスパムではない、と機械に教え込ませて、判定精度を向上させる方法です。
本論文は、光干渉断層計(OCT)で、Machine learning classifierを用いた緑内障診断を行っても、その診断力が向上しなかった、というものです。前述の通り、それだけ眼底所見のみの緑内障診断は困難であると言えます。
イチョウの葉エキスと緑内障
院長が新潟大学眼科緑内障外来で勤務していた頃、イチョウの葉エキスが眼循環改善や神経保護に効果的という報告がいくつかみられ始め、2008年に香港で行われたWorld Ophthalmology Congressにおいても多数の報告がありました。その後も中国を中心に多数の有用な報告がなされました。
最新の本論文はその反証です。イチョウには緑内障性視野障害改善の効果がないという結論です。
対象や研究方法の違いにより、研究結果が異なることはよくあることです。ですので、一つの研究結果を鵜呑みにすべきではありません。長年にわたる研究結果の積み重ねにより、信頼ある研究結果が導かれます。今後の研究に期待したいものです。
アントシアニンと緑内障
ブルーベリー摂取による眼病予防や改善の効果は、明らかなエビデンスがないと前述しました。最近、同じアントシアニンを含有するビルベリー摂取により、緑内障性視野障害が改善したという報告がありました。本報告では、イチョウの葉エキスも有用であるとのことです。
しかしながら、反証もありますので、十分留意して下さい。
コンタクトレンズを用いた眼圧計
眼圧を定義している教科書は少ないので、正確な記載ができないかもですが、眼圧とは、基本的には眼球内部の圧力を言います。従いまして、真の眼圧を測るためには眼球内部にセンサーを挿入する必要があり、もちろん日常診療の場では不可能なことです。多くの眼圧計は、眼球に何らかの圧力をかけた後、どの程度眼球が変形するのかをみることにより測定がなされます。前述した通り、本来は一日の眼圧変動を知りたいことがあっても、家庭内で自分で測定することは安全とは言い難いものがあります。
近年コンタクトレンズにセンサーをつけて、眼圧(値ではなく変動)をみる装置が開発され、その安全性と有用性を示す論文が出てきています。