中心性漿液性脈絡網膜症は、黄斑下に水が溜まり、軽度の視力低下や中心暗点、変視症、小視症などの自覚症状が出現する、眼科の中では比較的よくみられる疾患で、30~50歳代の男性に多いと言われてます。
5年間のコホート研究で、特に同疾患を持つ男性患者では、持たない男性患者に比べ、冠動脈性心疾患の発症頻度が1.72倍であると報告されました。
中心性漿液性脈絡網膜症は、黄斑下に水が溜まり、軽度の視力低下や中心暗点、変視症、小視症などの自覚症状が出現する、眼科の中では比較的よくみられる疾患で、30~50歳代の男性に多いと言われてます。
5年間のコホート研究で、特に同疾患を持つ男性患者では、持たない男性患者に比べ、冠動脈性心疾患の発症頻度が1.72倍であると報告されました。
子どもや兄弟同志では、眼圧に正の相関があったという報告です。ちょっとびっくりなのは、配偶者とも正の相関があったというデータで、眼圧は遺伝的要因だけではなく、環境要因も関係するらしいです。
ただし、過去の眼科疫学調査では、配偶者との関連はなかったとするものもあり、今後の研究が待たれます。
代表的な緑内障手術である濾過手術(線維柱帯切除術)は、白目の厚い膜(強膜)に房水を逃がすトンネルを作り、白目の表面にある結膜の下に房水を溜める(溜まった場所を濾過胞といいます)方法で、1968年にCairnsにより原法が報告され、種々の改変がなされ、現在でも日本においては主流の緑内障手術になっています。
http://emedicine.medscape.com/article/1844332-overview
眼圧を下げることについては非常に優れた方法ですが、いくつかの合併症があり、その中に濾過胞感染があります。本術式では、眼内と眼外とが、薄い結膜のみで隔てられるため、感染症が起こると、容易に眼内に細菌が侵入し、場合によっては視機能を落としてしまう可能性があります。日本緑内障学会では、濾過手術後の濾過胞感染の発生率を大規模で前向きに調べました。5年後の発症率の報告がOphthalmology誌に掲載されることになりましたが、2.2%ということです。
一般的な緑内障診断における視野検査は、field(範囲)というよりはthreshold(閾値、感度)をみています。その理由は、緑内障性視野障害の多くは中心30度以内に初発し、ほとんどは孤立暗点から始まり、病期の進行に伴いその部位の感度が低下し、暗点の面積が拡がる、という経過をたどるからです。現在においては、測定時間を短くすること、疲労効果を下げること、周辺部は眼瞼の影響などでエラーが多いことなどから、30度よりも24度以内をみる検査が主流となっているかと思われます。多くの眼科施設で使用されている視野計はハンフリー視野計と呼ばれるもので、特に検査結果の解析能力には定評があります。しかしながら、本機器においては、閾値を検査する測定点が均等に配置されているという大きな問題点があります。本来患者さんの自覚症状を推測する上でも、また、網膜神経節細胞の密度の点からも、測定点は中心に密である必要があります。それを補完するために、10度以内を密に捉える検査も必要となってきます。
本論文では、緑内障性視神経障害を有する患者さんを調べたところ、ハンフリー視野計で24度以内を測定するプログラムでは異常がみつからなかった例でも、10度以内を密に測定するプログラムでは16%に異常がみつかったというものです。
血液透析患者の眼圧や緑内障についてはいくつかの報告があります。血液透析中または直後では、眼圧が下がるという報告が多いです。単純に体内水分量が減少するためと考えていいのかもですが、透析中は仰向けで寝るため、眼圧が上がるという報告もあります。
本論文は、血液透析前後での眼圧、血圧、眼潅流圧(眼内血流を示す指標で、眼底血圧―眼圧が大本の数式ですが、報告により若干の補正がなされます。眼底血圧は一般的に全身血圧から評価されます)を調べた報告で、眼圧が上がり、血圧が下がるため、眼潅流圧が下がり、緑内障を悪化させる可能性があるという結論です。
http://archopht.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1774026
以前、緑内障治療薬に対するアドヒアランス(患者も治療方法の決定過程に参加した上、 その治療方法を自ら実行すること)は極めて低く、治療後6カ月で50%、3年で37%、治療薬を毎日欠かさず行っている例は10%以下であると述べました(Nordstrom 2005)。
最新の日本人のデータは、かなり良好で、3カ月で73.2%、3年で52.5%という報告がなされました。日本人が緑内障、ひいては眼科治療に積極的だということを示すデータと思います。
「緑内障があっても白内障手術はできますか?」と聴かれることがよくあります。基本的には可能ですし、一般的には眼圧がわずかながら下がるので、むしろ勧めることもあるくらいです。しかしながら注意すべき点は、逆に白内障手術後眼圧が上がる例もみられることです。
本研究では、緑内障眼に白内障手術を行ったところ、術前平均眼圧が16.3mmHgだったのが、術後14.5mmHgに下がったものの、38%で眼圧コントロールが悪くなったと報告がなされました。術後の低い眼圧と関連する因子は、術後に薬物の変更がない、術前高眼圧、高齢、深い前房とのことです。
スエーデンでの研究によると、一日15本以上喫煙している男性は、非喫煙者と比較して、白内障発症のリスクが42%高まり、20年以上禁煙できた男性でも、非喫煙者と比較して21%高まる。
アメリカでの研究ですが、1965年~1980年に緑内障と診断され、1995年まで追跡調査を行った結果、少なくとも片眼が失明したのは25.8%であったのに対し、1981年~2000年に緑内障と診断され、2009年まで追跡調査を行った例では13.5%に減じていた、とのことでした。主因は緑内障治療の進歩と位置付けていますが、未だ失明例が多いことにも注意すべきです。
http://www.aaojournal.org/article/S0161-6420(13)00808-7/abstract
緑内障外来において、患者さんの眼圧が高いために検査入院して頂くと、眼圧が下がっていることがよくあります。この場合はアドヒアランスが原因と思われますが、環境に応じて検査データが異なることはあらゆる疾患でみられることと思います。
本論文では、緑内障患者において、家と病院とでみえ方を比較したところ、病院の方がよくみえたという報告です。原因は照明の明るさとのことですが、このように、病院でいいデータが出たとしても、患者さんの日常生活には影響が出ている可能性があることを、医者は勘案する必要があります。
http://archopht.jamanetwork.com/article.aspx?articleID=1779718&utm_source=dlvr.it&utm_medium=facebook&utm_campaign=feed_posts%0A