統計学的に眼圧が正常域に入る緑内障、正常眼圧緑内障においては、その視神経障害の機序として、低い脳脊髄液圧が近年指摘されるようになりました。つまり、脳脊髄液圧が低いと、眼圧が低くても視神経を支持する篩状板が湾曲し、視神経の軸索輸送障害→網膜神経節細胞の障害が生ずるということです。また、脳脊髄液圧は、BMI、年齢、血圧により換算され、この値は身長と正の相関を示します。
本論文は、高身長、低脳脊髄液圧、篩状板圧較差(眼圧―脳脊髄液圧)は緑内障の危険因子であったと報告しています。
統計学的に眼圧が正常域に入る緑内障、正常眼圧緑内障においては、その視神経障害の機序として、低い脳脊髄液圧が近年指摘されるようになりました。つまり、脳脊髄液圧が低いと、眼圧が低くても視神経を支持する篩状板が湾曲し、視神経の軸索輸送障害→網膜神経節細胞の障害が生ずるということです。また、脳脊髄液圧は、BMI、年齢、血圧により換算され、この値は身長と正の相関を示します。
本論文は、高身長、低脳脊髄液圧、篩状板圧較差(眼圧―脳脊髄液圧)は緑内障の危険因子であったと報告しています。
エストロゲンは網膜神経節細胞の保護作用や眼圧下降作用があることが示唆されているホルモンのひとつです。
本論文では、閉経後の女性にエストロゲンによるホルモン治療が行われた群では、原発開放隅角緑内障発症の危険性が低かったと報告しています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24481323
有酸素運動後は眼圧が下がるというデータは過去にも多くの報告がありましたが、本論文は、メタアナリシスでそれを証明しております。ただし、どの程度の有酸素運動が必要か?については不明のようです。
フルオロキノロンは眼科領域も含め、一般臨床で頻用されている抗生物質です。一昨年フルオロキノロン内服が網膜剥離発症頻度を高めるという論文が発表され、物議を醸しました。フルオロキノロンが角膜内皮障害を引き起こすなど、いくつかの細胞毒性の報告があったものの、眼内の奥にある網膜障害を引き起こすことに対して、にわかに信じ難かったからです。
最新の本論文は、その反証です。調査する母集団や統計学的手法などから、予想がつかない結果や、統一しない結果が出ることはよくあります。この研究についても、更なる検討が必要と考えます。
私たちの視力や両眼視機能の発達は1歳前後にピークがあり、その後8歳くらいまでしか育たないと言われています。それを臨界期と呼びます。臨界期の間に斜視や遠視、白内障などで視覚刺激が少なくなってしまった場合、視機能の発育が遅れ、弱視となってしまいます。そのため、臨界期までに良好な視力と両眼視機能の獲得が必要であり、例えば先天白内障を認めた場合、臨界期までに手術加療が必要と、眼科学的には考えられてきました。
本論文では、先天白内障例に対し、10代前後で白内障手術を行ったところ、明らかな視機能向上がみられたという報告です。従来考えられていた臨界期を超えても、視機能獲得のための治療は有効である可能性があるという結論です。
緑内障に有効なサプリメントについては沢山の報告があります。しかしながら、それらの多くは作用機序が不明であったり、統計学的検討が十分でなかったりで、決め手に欠けるところがあります。
本論文では、ビタミンDの欠乏と緑内障との間に相関があったとしています。しかしながら、多変量解析においては、交絡因子の関係などで、研究によっては、逆の結果がでることもありますので、今後の研究が待たれます。
以前にも述べましたように、緑内障にはpreperimetric glaucomaと呼ばれる疾患群があります。緑内障診療ガイドライン(第三版)によれば、「眼底検査において緑内障性視神経乳頭所見や網膜神経線維層欠損所見などの緑内障を示唆する異常がありながらも通常の自動静的視野検査で視野欠損を認めない状態をpreperimetric glaucomaと称することがある。」と記載されています。多くの疾患について当てはまると思われますが、人体は形態的異常(各種画像検査データなど)が生じてから機能的異常(自覚症状など)が生じます。緑内障においても、一般的に視神経障害が生じてから視野障害が生じます。すなわち、preperimetric glaucomaとは、形態的異常はみられるけれども、機能的異常がみられない状態であり、緑内障の一歩手前の状態と言えます。
本研究では、眼圧が統計学的に正常域にあるpreperimetric glaucomaに対して眼圧下降治療を長期間行った結果、それでも緩やかに眼底の異常および視野異常の進行がみられたという報告です。これらの危険因子として、乳頭出血(緑内障性視神経障害の代表的な所見です)とベースライン眼圧から20%以上の眼圧下降をみられなかった例を挙げています。
緑内障症例で、視野障害進行速度が速かった例を調べた報告ですが、危険因子として、もともとの視野障害が強かった例、視神経障害が強かった例(視神経乳頭陥凹が大きかった例)、高齢があげられています。
米国眼科学会のガイドライン(2012)では、カラー美容用コンタクトレンズを安全に使用するために、以下のことを推奨しています。
・眼科医の検査を受ける。
? メーカー名,レンズの規格,使用期限が明記された有効な処方せんを入手する。
? 眼科医の処方せんを要求するCL販売店から仮装用カラーCLを購入する。
? 説明書に書かれたケア(洗浄・殺菌),装用方法を守る。
? 他の誰かとの仮装用カラーCLの共有は絶対にしない。
? 眼科医のフォローアップ検査を受ける。
日本においても、同様の啓発がなされているのですが、遵守されていないケースが国内外ともあるようです。
下記の報告によれば、重篤な角膜感染症にいたったカラーコンタクトレンズ装用者13名のうち、使い回しが5名、ゴミ箱から拾ったものを使ったケースもあったようです。
レーザー虹彩切開術は、閉塞隅角緑内障に対し、「瞳孔ブロックを解除し前後房の圧差を解消して隅角を開大する」目的で行われ、緑内障診療ガイドライン(第三版)においては、「瞳孔ブロックによる原発ならびに続発閉塞隅角緑内障では第一選択の治療である。プラトー虹彩が疑われる症例に対して瞳孔ブロックの要素を除去する目的で行ってもよい。」と記載されています。しかしながら、稀に角膜内皮細胞が障害され、水疱性角膜症という重篤な合併症を起こすことがあり、治療の適応は慎重に考慮すべきです。
本論文では、原発閉塞隅角症疑い(原発性の隅角閉塞があり、眼圧上昇も、器質的な周辺虹彩前癒着も緑内障性視神経症も生じていない例)の片眼に、予防的レーザー虹彩切開術を行ったところ、3年後に角膜内皮細胞の減少がみられたものの、未治療眼にも減少がみられ、両眼間で減少の程度に差がなかったと報告しています。