「眼についての最新情報」カテゴリーアーカイブ

高齢者の眼の健康を保つために

米国眼科学会によると、米国では65歳以上の6人に1人が、眼鏡などによっても矯正不能な視力障害を持つことを示唆しています。高齢者が視力を保ち、健康で自立した生活を長く続けられるよう、米国眼科学会では次の7項目を勧告しています。
 (1)65歳になったら、眼科健診を1-2年に一度受ける。
 (2)読み書きや運転、テレビ視聴などに支障が出る、物をなくす、物にぶつかる、足を踏み出すのを恐れる、何かを見る時に頭を傾げるといった、視力低下の徴候を知る。
 (3)眼の健康に役立つ栄養素(ビタミンCおよびE、亜鉛、ルテイン、ゼアキサンチンなど)を含む健康な食生活を送る。
 (4)たばこは吸わない。喫煙は白内障、加齢黄斑変性などのリスクを高める。
 (5)血圧、コレステロール、血糖を正常値に保つ。
 (6)定期的に運動する。
 (7)戸外では紫外線100%カットのサングラスを使用する。

http://www.aao.org/newsroom/release/academy-urges-sight-saving-habits-for-older-adults-help-maintain-independence.cfm

アジアにおける緑内障疫学調査について

アジアにおける緑内障についての疫学調査は、日本をはじめ多数の国で行われていますが、その他の地域に比べると原発閉塞隅角緑内障の発症頻度が高いことが知られています。しかしながら、一番多い病型は原発開放隅角緑内障(広義)で、中でも眼圧が低いタイプの正常眼圧緑内障が多いことも知られています。緑内障の危険因子については、白人と比べてアジア人では、近視が挙げられることが多いと言われています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24837853

乳頭出血の危険因子

前にも本ブログでアップしましたが、乳頭出血とは、主に視神経乳頭縁にみられる線状の出血であり、緑内障発症や病期の進行の危険因子として知られている眼科的所見です。乳頭出血の発症原因は未だ不明ですが、近年では視神経乳頭にある篩状板の形状の変化により毛細血管が破綻し、乳頭出血が生ずるとする仮説があります。

本論文は、乳頭出血が生ずる危険因子を調べたもので、片頭痛、視神経乳頭辺縁部の菲薄化、交感神経β遮断薬の全身投与、低い収縮期血圧、低い眼潅流圧を挙げています。

http://www.ajo.com/article/S0002-9394(14)00072-5/abstract

再発性角膜びらんの原因について

外傷などで生じる、角膜上皮が剥離する角膜びらんは一般診療上よくみられる疾患で、通常は点眼、軟膏、眼帯などの処置で数日で治癒します。再発性角膜びらんとは、角膜上皮とその下にある基底膜との接着が弱いために、一度治癒した角膜びらんを繰り返し生ずる状態を言います。かなりの疼痛を伴うことが多く、寝ている時に目を閉じながら眼球が動くため、まぶたと眼球との間に摩擦が生じ、起床時に発症することが多いことが知られています。治療としては、最近では治療用コンタクトレンズ装用により奏功するケースが増えてます。

本論文では、再発性角膜びらん患者の病因を調べたところ、軽度外傷の既往(39.3%)、角膜上皮基底膜ジストロフィー、レーザー屈折矯正角膜切除術(各17.1%)、レーザー光線による近視矯正手術(7.7%)の順で多かったことを報告しています。

http://journals.lww.com/corneajrnl/Abstract/2014/06000/Clinical_Presentation_and_Causes_of_Recurrent.6.aspx

ビジョンバンについて

東日本大震災発生直後、宮城県眼科医会が中心となり、震災被災者への高いレベルでの眼科医療支援を提供する目的で、眼科医療支援車両「ビジョンバン」が運行されました。その後も眼科健診車両として、現在でも東北地方を中心にビジョンバンは活躍しています。

http://www.visionvan.jp/index.html

本論文では東日本大震災発生後の宮城県におけるビジョンバンの活躍を報告しています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24809415

睡眠時無呼吸症候群と緑内障について

以前にもお話しましたように、睡眠時無呼吸症候群は緑内障の危険因子ではないかとの報告が近年多数報告されています。理由としては、眼循環不全や、CPAPと呼ばれる気道に圧をかける治療が、眼圧を上げているのではないか?などというという仮説が考えられています。しかしながら、睡眠時無呼吸症候群では、種々の合併症を有していることが多く、それらが緑内障発症に影響を与えている可能性もあります。

本論文は、9580人の睡眠時無呼吸症候群が疑われる患者を対象とし、心血管系因子や肥満、呼吸器に関する因子の影響などを考慮した結果、緑内障の危険因子として挙げられたものは、年齢、低いbody mass index、女性、高血圧、高い中性脂肪、甲状腺機能異常であり、睡眠時無呼吸症候群と緑内障との関係はなかったと報告しています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24780132

緑内障と家族歴

近親者に緑内障患者がいた場合、緑内障を発症する危険率が上がることは既に多くの報告でなされています。本論文では、健常眼において、緑内障家族歴の有無で、光干渉断層計(Optical coherence tomograph: OCT)を用いて網膜神経線維層厚や黄斑部の網膜厚を測定したところ、家族歴がある群の方が有意に薄かったと報告しています。緑内障家族歴があった場合には、早期の眼科検査が必要となります。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24782474

レーザー虹彩切開術後の見え方の異常について

緑内障診療ガイドライン(第三版)によれば、原発閉塞隅角緑内障の治療の第一選択は、「レーザー虹彩切開術あるいは虹彩切除術による瞳孔ブロック解除」であり、いずれも比較的安全にかつ簡便に行える治療です。しかしながら、レーザー虹彩切開術後については、水疱性角膜症などの重篤な合併症を生ずることがあり、治療の適応には十分な配慮が必要です。本治療の合併症の中で、2.7%~4.0%の割合で、光輪症や羞明、影がみえるなどの みえ方の異常を訴える患者さんがいます。多くは時間とともに症状は軽減しますが、何とか避けたい合併症の一つです。

レーザー虹彩切開術の切開孔の位置は、上眼瞼で隠してそれらの見え方の異常を軽減させるなどの理由で、従来まで上方の虹彩で行うことが多かったのですが、本論文では、上方と耳側との比較を行った結果、耳側の方が見え方の異常を訴える患者さんが少なかったと報告しています。理由は涙液層のプリズム効果の有無を挙げています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24531024

補償光学を用いた視神経乳頭の観察について

補償光学とは、「宇宙から地球を撮影したり、地球から宇宙を撮影するときに問題となる大気の揺らぎを光電子的に解決するために開発された光学技術」であり、眼底撮影においても、水晶体や硝子体などによる揺らぎや各種収差を補正することにより詳細な観察が期待されており、補償光学を応用した技術が待ち望まれていました。

本論文は、補償光学を応用した光干渉断層計(optical coherencetomograph)を用いて、視神経の支持組織である篩状板の観察をしたという報告です。リンク先で画像がみれますが、極めて詳細な構造が観察できるようです。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3986004/

緑内障性視野障害の改善について

緑内障は不可逆性の疾患であるため、障害されてしまった視神経や視野は改善されないと考えられています。一方、神経には可塑性があり、何らかの方法でわずかばかりですが改善されるのでは?とも考えられています。方法としては、一つは神経保護で、薬物治療などの報告がわずかですが存在します。もう一つはトレーニングです。

本論文では、コンピュータを用いて、視野検査のようなトレーニングを行うことにより、わずかですが、視野障害が改善されたと報告しています。ただし、所謂学習効果による影響も考えられ、神経の可塑性に働いているのではなく、単純に検査慣れにより改善されていた可能性も示唆しています。

http://archopht.jamanetwork.com/article.aspx?articleID=1828526&utm_source=dlvr.it&utm_medium=facebook&utm_campaign=feed_posts%0A