「緑内障」カテゴリーアーカイブ

i Padを用いた緑内障スクリーニングについて

緑内障性視神経障害または視野障害は、一般的に不可逆的なものなので、緑内障を早期に発見することは視機能障害を防ぐために極めて重要です。しかしながら、緑内障診断には特殊な検査が必要なことから、眼科受診やドック、健診などの機会がない場合には、緑内障を早期に発見することは困難と言えます。米国眼科学会のサイトによると、ネパールの緑内障患者を対象とした研究で、「visual field easy」というi Pad アプリを用いることで、眼科で通常行われる視野検査と51-79%の一致がみられたとする報告を紹介しています。このようなi Padアプリを用いた緑内障スクリーニングは、十分とは言えないまでも、有用である可能性があります。
http://www.aao.org/newsroom/release/ipadscreenings-effective-for-detecting-early-signs-of-glaucoma-in-underserved-high-risk-populations.cfm
https://itunes.apple.com/jp/app/visualfields-easy/id495389227?mt=8

緑内障による視機能障害は眼圧を下げることで改善しうるか?

緑内障の本態は緑内障性視神経症であり、疾患により生じた視機能障害(視野障害)は原則不可逆的と考えられています。一方で、エビデンスのある唯一の治療法である眼圧下降治療で、わずかですが視野障害やコントラスト感度の向上がみられることもいくつかの報告によって示されています。この視機能の向上は、可逆的な網膜神経節細胞の存在によるものか、眼圧を下げること自体が健常な網膜神経節細胞の機能を向上させているのかはわかっていません。本論文は、統計学的に高い眼圧を有しながら、視神経障害、視野障害がみられない、所謂高眼圧症の症例に対して、眼圧下降治療で視野検査の感度が向上するかを調べたもので、感度が向上しなかったことから、緑内障患者における視機能向上は、視機能障害そのものを改善させている可能性があることを示唆しています。

http://www.aaojournal.org/article/S0161-6420(14)00361-3/abstract

緑内障画像診断の解像度

緑内障診療ガイドライン(第三版)によれば、緑内障の本態は、「網膜神経節細胞の消失とそれに対応した視野異常である緑内障性視神経症」である。近年、眼底三次元画像解析装置を用いた緑内障の補助的診断が盛んに行われており、光干渉断層計(OCT)による眼底検査は、多くの眼科診療所で取り入れられている。最近臨床導入された、より画像解像度が高いswept source OCT(SS-OCT)は、今日汎用されているspectral domain OCT(SD-OCT)より緑内障診断力の向上が期待される。しかしながら、SS-OCTとSD-OCTの緑内障診断力を比較した本報告では、緑内障性視神経障害についてはSS-OCTの方が捉えやすくなっていたものの、正常と緑内障を区別する能力については同等であったと結論付けている。

http://www.ajo.com/article/S0002-9394(14)00667-9/abstract

サフラン抽出液による緑内障眼の眼圧下降効果

酸化ストレスは、視神経障害を惹起させるのみならず、線維柱帯細胞にもダメージを及ぼし、房水流出を悪化させ、眼圧を上昇させると言われています。本論文では、抗酸化作用を有すると言われているサフランを原発開放隅角緑内障症例に経口投与させたところ、眼圧下降効果がみられたと報告しています。サフラン抽出液の眼圧下降効果を証明した初めての報告とのことで、今後の臨床応用が期待されます。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25319729

夜間低血圧と緑内障について

眼圧が常に統計学的に規定された正常値に留まる原発開放隅角緑内障(広義)は、正常眼圧緑内障と呼ばれ(緑内障診療ガイドライン(第三版))、その発症および病期の進行にの原因として、眼圧のほかに眼圧非依存因子の関与が推定されることも多いと言われています。一方、虚血性視神経症は、早朝突然生じる下方半視野障害が特徴的な疾患ですが、正常眼圧緑内障は、眼圧が比較的高いタイプの原発開放隅角緑内障(狭義)と比べて、下方視野障害の頻度が多いことが示唆されており、正常眼圧緑内障の一部に、虚血性視神経症の病態が含まれているとも言われています。虚血性視神経症の発症の要因として、夜間低血圧に伴う眼循環障害が示唆されていますが、本論文では、正常眼圧緑内障で夜間低血圧を有する症例では、視野障害進行が早かったことを報告しています。

http://www.aaojournal.org/article/S0161-6420(14)00363-7/abstract

ストレスと緑内障について

古典的にストレスは緑内障発症および進行の危険因子の一つとして捉えられています。しかしながら、その関係を示す報告はほとんどないように思われます。一方で、ストレスが眼圧上昇を起こすことはよく知られています。健常者を対象とした心理学的ストレス度を評価する調査票を用いた報告では、女性の平均眼圧はストレススコアと正の相関があったとしています。眼圧上昇のメカニズムはよくわかっていませんが、視床下部ー下垂体ー副腎系の関与や交感神経の更新などが考えられています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18239349

緑内障における眼循環、眼底構造変化、視野障害に関する原著論文が掲載されました

院長は他施設の研究のお手伝いを依頼されることがあります。この度、微力ながらお手伝いをさせて頂いた研究の原著論文が雑誌「あたらしい眼科」に掲載されました。緑内障の本態は緑内障性視神経障害ですが、それを引き起こす要因として、眼圧のほかに従来より眼循環の関与が指摘されてきました。本原著論文では、正常眼圧緑内障において、視神経乳頭血流と視神経乳頭形態、網膜厚、視野指標との関連を調べたもので、互いに強い関連がみられ、視神経乳頭血流の循環動態を捉えることが、緑内障治療の一助になる可能性を示唆しています。共著者に名前を連ねさせて頂き、関係各位に深く御礼申し上げます。

http://www.atagan.jp/article/20140936.htm

プロスタグランジン関連薬の過剰投与につき

緑内障治療における第一選択薬の一つはプロスタグランジン関連薬で、高い眼圧下降効果と、少ない全身的副作用のため、あらゆる病期・病型の緑内障治療に用いられています。しかしながら注意すべき点として、原則的に一日一回投与で、過剰投与は副作用などの点から、推奨されていません。本論文は女性の症例報告ですが、レーシック術後に人工涙液の代用として7時間の間15分毎に点眼したところ、急激な腹痛と不正出血がみられたということです。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25259759

急性緑内障発作と長時間のフライトについて

急性緑内障発作は、急激な眼圧上昇のために、視力低下、霧視、虹視症、眼痛、頭痛、悪心、嘔吐などの症状を伴う、救急医療においても重要な疾患です。本疾患では、早急な治療を行わないと、重篤な視機能障害を来すことがあります。本論文では、長時間のフライト中に急性緑内障発作を生じた3例について報告しています。フライト中は適切な治療を行えないことが多いため、予防的な点眼治療を勧めています。一般的に急性緑内障発作は予防的治療が可能なことから、高齢で、特に遠視を有する女性については、自覚症状がなくとも、眼科検診を受けるべきと考えます。

http://archopht.jamanetwork.com/article.aspx?articleID=1906170&utm_source=dlvr.it&utm_medium=facebook&utm_campaign=feed_posts%0A

原発閉塞隅角症疑いに対するレーザー虹彩切開術について

緑内障診療ガイドライン(第三版)によれば、原発閉塞隅角症疑いとは、「原発性の隅角閉塞があり、眼圧上昇も、器質的な周辺虹彩前癒着(peripheral anterior synechia: PAS)も緑内障性視神経症も生じていない、すなわち非器質的隅角閉塞(機能的隅角閉塞、appositional angle closureとも呼ばれる)のみの症例」としています。治療としては、経過観察の場合もありますが、閉塞隅角による眼圧上昇を予防する目的で、レーザー虹彩切開術や手術などのの観血的治療の適応となる場合もあります。どのような治療を選択するかには定見がなく、医師の判断に委ねられざるを得ない事情もあり、かつ自覚症状も乏しいことから、治療の選択や患者さんへの治療の説明に苦慮することがあります。本論文は、片眼をレーザー虹彩切開術で治療し、片眼を無治療で経過観察した報告ですが、レーザー後は急激に隅角が開放し、6カ月は同じ状態が続きますが、その後少しずつ隅角が狭くなってしまう一方、無治療眼では、より早いスピードで隅角が閉塞すると報告しています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24835757