「緑内障」カテゴリーアーカイブ

水泳用ゴーグルと緑内障について

緑内障患者さんから、「日常生活で気を付けることはありますか?」と聴かれることがよくあります。一般論として緑内障は生活習慣病ではないと考えられており、眼圧を下げることが証明されている唯一の有効な治療法であること、おそらくはストレスが眼圧を上げることがあることから、「細かいことに拘らずに、とにかく毎日点眼を欠かさないで下さい。緑内障治療のアドヒアランスは他の慢性疾患よりも悪いことがわかっていて、毎日点眼することですら大変なことですから。」などとお話しています。過去においては、例えばネクタイをきつく締める人や、吹奏楽をやっていて力を込めて演奏する人は、一時的に眼圧が上がることから、緑内障患者さんは避けるようにと指導されることもあったのですが、追試もなく、最近では指導されなくなってきているかと思われます。水泳用ゴーグルが眼圧を上げるという報告が過去にあったのですが、追試が行われた本論文では、関係がなかったと結論付けています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25204989

落屑症候群と日光曝露および居住地の緯度との関係について

落屑症候群は50歳以上の中高齢者の水晶体表面にふけ様の沈着物がみられ、縁内障や水晶体偏位などをおこし、高齢者の失明原因としても重要な疾患です。北欧に多い(高齢化が原因とも言われています)ことと、日光曝露が重要な危険因子と言われています。本研究では、居住地における赤道からの緯度について、1度離れる毎に11%、夏期に外出する時間については、1週間あたり1時間毎に4%、落屑症候群のリスクが高まることを示唆しています。

http://archopht.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1901215&utm_campaign=social_090414&utm_medium=facebook&utm_source=jamaophth_fb

未発見または未治療の緑内障について

緑内障診療ガイドライン(第三版)によれば、「緑内障では、現在のところいったん障害された視機能が回復することはない。また、後期例では治療を行っても進行する例があることが知られている。したがって、緑内障治療においては早期発見、早期治療が大切である」としています。しかしながら、本邦においては、緑内障の新規発見率は89%であると言われ、未だ治療を受けていない緑内障患者が多数潜在していることが示唆されています。米国で行われた本研究においても、未発見または未治療の緑内障患者は実に78%に及ぶと報告しています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25152501

緑内障患者によるスーパーマーケットでの買い物について

両眼に緑内障性視野障害を有する症例を対象とした本研究によれば、健常者に比べると、商品を選ぶのに時間がかかるものの、多くの症例では、視野障害がある部分を時間をかけて見つめることにより、正確に商品を選ぶことができたと報告しています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25162522

多焦点眼内レンズと中心視野

白内障手術において、先進医療として用いられている多焦点眼内レンズは、遠方も近方もよくみえる有用なレンズですが、ハローやグレア、コントラストの低下が指摘され、その適応は慎重に決めるべきと言われています。本論文では、多焦点眼内レンズ装用後は、中心視野の感度低下がみられると報告しており、黄斑変性や網膜色素上皮変性、緑内障症例では勧められないと結論づけています。

http://www.ajo.com/article/S0002-9394(14)00220-7/abstract

抗血管内皮細胞増殖因子抗体治療と緑内障について

抗血管内皮細胞増殖因子抗体硝子体内注射は、加齢黄斑変性などの新生血管が原因で生ずる重篤な眼疾患の治療に大変有用ですが、治療後に高眼圧となり、緑内障になるケースがみられます。本論文によると、緑内障になる危険因子として、注入量と、注入速度を挙げています。

http://www.ajo.com/article/S0002-9394(14)00233-5/abstract

緑内障性視野障害は改善するのか?

一般的には緑内障で生じた視神経障害や視野障害は不可逆的なものと考えられていますが、臨床上、改善がみられる症例も見受けられます。多くは学習効果と呼ばれる検査に対する慣れが原因と考えられていますが、本論文によると、眼圧コントロールが良好なほど、視野障害が改善するケースがみられ、緑内障性視野障害は本当に改善している可能性があることを示唆しています。

http://www.ajo.com/article/S0002-9394(14)00190-1/abstract

緑内障と睡眠時の体位について

過去に投稿させて頂いた中で、仰臥位では眼圧が上がるとか、側臥位の場合、下になった方の眼で眼圧が上がったり、視野障害が強くなったりする等という報告を紹介しました。しかしながら、睡眠をとらないという訳にはいかないので、生活指導のうえで、中々有用な助言はできませんでした。本報告では、睡眠時に20度のhead upで、夜間の眼圧上昇を防ぐことができるというもので、生活指導を行いやすい方法と思われます。

http://www.eugs.org/eng/journalclub_showjournalclub.asp?id=2323

緑内障患者の自覚症状について

一般的な緑内障による自覚的所見は視野障害ですが、実際に患者さんがどのようにみえているかについては、実は最近まで調べられていませんでした。本論文によれば、初期から中期にかけては、光量が足りないとかかすみ目が生じ、後期においてはサングラスをかけているかのように目的物の境界や色合いがわかりにくくなる、とのことです。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24992392