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院長 について

新潟大学医学部卒業 眼科八百枝医院院長 新潟大学大学院医歯学総合研究科視覚病態学分野非常勤講師 医学博士

White Coat Adherence

院長は歯のメンテナンスを受けに数カ月に一度歯科医院にかかっているのですが、受診する直前に一生懸命歯を磨いてしまいます。このように、患者は医者に自分が「いい患者」であることをみせたがる傾向があります。診療機関にかかる直前に点眼する、内服するなどの行為をWhite Coat Adherenceといいます(いい日本語訳はないようですが)。緑内障診療の場で、眼圧が低いにも関わらず、視神経障害、視野障害の進行がみられる場合、White Coat Adherenceの可能性があります。いずれ述べますが、緑内障治療は完璧にできる患者の方がはるかに少ないので、かかりつけ医には、是非点眼状況を正直にお伝えすることをお勧めします。でないと、過剰な治療を勧められる可能性があるからです。

http://georgevanantwerp.com/2010/09/27/white-coat-adherence/

「私って緑内障ですか?」

よく患者さんに質問を受けるのですが、実は返答に困ることがしばしばあります。一般的な慢性疾患とは、ある時点から「病気」になるというわけではなくて、continuum(連続体)であって、この時点から「病気」と決めているのは人間だからです。もちろんWHOの高血圧の基準のように、(例えばこの数値以上になれば合併症が増えるとか)根拠があって病気が決められているのですが、緑内障においては、特徴的な(後々ご説明します)視神経障害、視野障害を診断するしかなく、網膜神経節細胞の死→失明に至る長い道のりのいつ、緑内障と診断するのか、明確とまで言える定義はありません。一応現状においては視野検査が確定診断になり、診断基準もあることにはあるのですが、機能異常(視野異常)が生じる前に経過観察や治療を開始する場合もあり、説明が困難なことがしばしばあります。また、そのような事情で、ある医者は「緑内障です」と診断する一方、別の医者にかかると「正常です」と言われることも多いのは、上述した理由が一因と思っています。

もう一つ踏み込んで、「(緑内障またはその疑いとして)現在はどういう状態でしょうか?」とか「治療は必要でしょうか?」などと聴いて頂けると、もう少し細やかな説明が医者からなされるかと思われます。

緑内障とは?

緑内障がどんな病気であるのかを定義するのはとても難しく、各国の緑内障のガイドラインの中で、定義が書かれているのは日本だけで、「緑内障は、視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患である」とあります。多くの方にはとっつきにくい表現と思いますが、緑内障の多くは眼圧が健常人の正常範囲内にあることが一因と考えます。緑内障の本態は「進行性の網膜神経節細胞の消失とそれに対応した視野異常である緑内障性視神経症」であり、近年では眼圧が高いことよりも視神経障害が存在することが緑内障の定義となりつつあると考えます。

緑内障診療ガイドライン(第三版)

専門は緑内障です。

院長の専門は緑内障です。経歴でもお示しいたしました通り、眼科医になってからの多くの診療時間を新潟大学の緑内障外来、病棟、手術に携わらせて頂きましたし、学会発表のほか、執筆した原著や論文、総説、教科書の多くが緑内障関連のものです。また、日本緑内障学会緑内障診療ガイドライン(第三版)においては作成委員会の委員を務めさせて頂きました。しかしながら、まだまだ分からないこと、知りたいこともあり、新しい論文の情報収集や論文作成のお手伝いを通じ、スキルを高めていく所存です。今後ともよろしくお願い申し上げます。

日本緑内障学会緑内障診療ガイドライン(第三版)

加齢黄斑変性

欧米では失明原因の第一位になっている加齢黄斑変性。喫煙や高血圧、高脂血症などが発症の一因として挙げられますが、アルツハイマーや痴呆との関連はなく、また、加齢黄斑変性がアルツハイマーや痴呆の発症や進行を促すこともないという報告がありました。

http://archopht.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1774028