アジア人に近視が多いことはいくつかの報告がなされています。しかしながら、本当に人種によるものか、環境因子も関与しているのかを証明することは困難です。
本報告はロスアンジェルスに住む(すなわち同じ環境下にいる)未就学児の屈折を多数令で人種毎に比較したもので、やっぱりアジア人に近視が多かったというデータです。
ただし、例えば「アジア人が近業時間が長い」かもといったバイアスが排除されてはいないので、本当に人種が関係しているのかは未だ不明と思われます。
アジア人に近視が多いことはいくつかの報告がなされています。しかしながら、本当に人種によるものか、環境因子も関与しているのかを証明することは困難です。
本報告はロスアンジェルスに住む(すなわち同じ環境下にいる)未就学児の屈折を多数令で人種毎に比較したもので、やっぱりアジア人に近視が多かったというデータです。
ただし、例えば「アジア人が近業時間が長い」かもといったバイアスが排除されてはいないので、本当に人種が関係しているのかは未だ不明と思われます。
緑内障治療薬を使用している患者さんによく聴かれる質問です。「(少なくともお元気なうちは)一生です」とお答えするしかありません。
緑内障で失明するリスクは(外傷や手術の合併症で低すぎることがない限り)眼圧が低ければ低いほど低下します。また、緑内障は年齢と関係があり、網膜神経節細胞は健常人であっても年齢とともに減少し、理論値では150歳になれば全員緑内障になると言われています。その方の余命が何歳であるのかが分からない以上、「一生」とお答えするしかありません。
緑内障診療ガイドラインにも書かれていますが、以上の理由もあり、医者側としては「薬物治療の原則は必要最小限の薬剤と副作用で最大の効果を得ることである」必要があり、その方の「QOL、治療にかかわる費用、アドヒアランスなどへの配慮」も必要となります。
以前お話した通り、眼圧値のみで緑内障かどうかを診断するのは困難です。特に正常眼圧緑内障が多いと言われている日本においてはなおさらです。一般的に確定診断は視野検査になりますが、手間がかかる検査で、眼科受診者全員に視野検査を行うことも困難と言えます。従いまして、緑内障診断の入り口は眼底検査になるかと思われます。検眼鏡法または眼底写真撮影法が主となるかと思いますが、問題は視神経の形状が個々においてvariationがあるため、緑内障専門医と言えども、診断にバラつきがあります。診断が一致するかどうかの指標として、κ値というものがあり、0.5あたりで中等度の一致と言われているのですが、眼底検査におけるκ値は0.20-0.84と、高くないことが知られています。
緑内障診断には、種々の検査が必要で、総合的に勘案した上で確定診断がなされますので、どうしても検査が多くなりがちになります。
http://www.touchophthalmology.com/articles/clinical-optic-disc-evaluation-glaucoma
大分寒くなり、風邪をこじらしている方も多いのではないかと思います。風邪薬や胃薬、睡眠薬などの添付文書に「緑内障の方は禁忌または注意するよう」喚起がなされていることがあります。これは副交感神経を刺激または交感神経を抑制させる働きを持つ薬物が、場合によっては急性緑内障発作を生じさせる可能性があり、その際には手術治療を行わないと失明に至ることがあるからです。
しかしながら、眼科医の側からみると、緑内障の中で、急性緑内障発作を起こす「閉塞隅角緑内障」の病型は少ないこと、そもそも緑内障の診断がなされて、急性緑内障発作が起こりそうな方にはすでにレーザーまたは手術治療がなされているケースが多いことから、むしろ怖いのは、「緑内障の有無を調べたことがない人」と思われます。
多くの緑内障は、自覚症状なしに病期が進行しますので、症状がなくとも、中高年の方の眼科検診を勧めます。
最近でた論文で、横を向いて寝る(側臥位)場合、下の方の眼の眼圧が高い、というのがありましたが、最新の本論文では、視野障害の強さに左右眼に違いがある場合、視野障害が強い方の眼を下にした側臥位で寝る傾向にあることが示されました。
体重(body mass index)と眼圧は関係があります。体重が重ければ眼圧は高くなります。一方、前回述べましたように、立ったり座っていたり、よりも寝た体勢の方が眼圧が高くなります。
では、体重が体位による眼圧変化に影響を与えるでしょうか?最新の論文で、体重と体位には関係がみられなかったとする報告がありました。
緑内障患者さんに、「日常生活で気をつけることはありますか?」とよく聴かれます。いろいろな行為により眼圧が変動することはよく知られています。例えば仰向けになると眼圧が上がります。しかしながら「睡眠時間を短くしましょう」という訳にもいかず、通常の生活における眼圧変動以上に、緑内障治療薬の効果が勝っていると考え、「目薬をきちんとさすこと、それだけでも大変なことなのですが、一番有用です」とお答えしています。
緑内障の大家Ritch先生の名著で1996年を最後に改訂がなされていないとは思いますが、膨大な緑内障の知見を網羅していたThe Glaucomasによれば、眼圧が一番上がる体位は逆立ちです。しかしながら、一日中逆立ちをするわけではないので、あまり問題になることはないはずです。
一方、ヨガについては、最大で20mmHg 以上の眼圧変化があり、長い時間同じ姿勢をとることがあると思われ、緑内障患者さんは注意すべきと思います。