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新潟大学医学部卒業 眼科八百枝医院院長 新潟大学大学院医歯学総合研究科視覚病態学分野非常勤講師 医学博士

視野検査後の眼圧上昇

緑内障患者さんの経過をみていくうえで、治療を変更するきっかけになるきっかけは、多くは視野検査結果と思われます。一般的に緑内障性視野障害は、十分な治療を行っても、徐々に進行していくことが多く、その場合であっても将来的に視機能に問題がない(自覚症状に変化が生じない)であろうと判断されれば、治療方針を変更しないのですが、過去の視野検査結果から、著しい視野障害の進行や、視機能に影響する中心近くの視野障害の進行、新規に暗点が生じる、などの変化を認めれば、より強力な眼圧下降治療を行うことになるかと思われます。そのほか、眼圧についても、治療薬に効果がない、目標眼圧に到達しない、眼圧上昇がみられる、副作用が出現する、などのきっかけで治療を変更することがあります。

本論文では、視野検査を行った後の眼圧は、普段の外来受診時の眼圧よりも高かったと報告しています。理由はストレスなどではないかとのことです。よって、視野検査直後の眼圧値を基に治療方針を判断しない方がいいだろうとの結論です。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21673592

本日の新医院

今日の長岡市は概ね晴天ですが、冷たい風が吹いています。建築中の新医院は、しばらくカバーがかかったままですので、中を窺い知ることは難しいのですが、窓枠のようなものがみえます。次回の打ち合わせ会議が楽しみです。

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続発緑内障について

一般的に「緑内障」というと原発開放隅角緑内障(広義)をイメージするかと思われます。また、風邪薬などの添付文章などで「緑内障の方は注意ください」などと書かれる場合には、原発閉塞隅角緑内障を想定します。これらの緑内障は、「緑内障性視神経症」の有り無しで緑内障かどうかの診断がなされます。

一方、少ない割合ですが、続発緑内障と呼ばれる一群があります。本疾患は、「他の眼疾患、全身疾患あるいは薬物使用が原因となって眼圧上昇が生じる緑内障」なのですが、緑内障診療ガイドライン(第三版)によれば「本症の一部では、原疾患、他疾患の存在により緑内障性視神経症による視神経の形態的変化、機能変化(視野変化)の評価が困難である。このため、経過措置として、従来の解釈どおり、続発緑内障には続発性の眼圧上昇を有し、緑内障性視神経症を生じていない症例を含めることと」しております。

これらの理由で、包括的な緑内障の定義が困難なものとなっております。緑内障の本態は「進行性の網膜神経節細胞の消失とそれに対応した視野異常である緑内障性視神経症」であることには違いはないのですが、続発緑内障について言えば「眼圧上昇」のみで緑内障と診断することがあるからです。そのような事情もあり、患者さんに「自分は緑内障ですか?」と聴かれると、おこたえし辛いケースが多々あります。

眼精疲労の治療について

眼精疲労とは、視作業(眼を使う仕事)を続けることにより、眼痛・眼のかすみ・まぶしさ・充血などの目の症状や、頭痛・肩こり・吐き気などの全身症状が出現し、休息や睡眠をとっても十分に回復しえない状態をいいます。治療は、近業の制限などの生活習慣の改善や近用眼鏡装用などが主となります。

中国の学生について眼精疲労を調べた報告では、パソコンなどの近業を危険因子として挙げていますが、十分な睡眠や安定した精神状態、良好な生活環境のほか、葉菜類の接種は症状軽減に有効であるとしています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24195055

正常眼圧緑内障眼における眼循環と中心視野障害との関係

統計学的に正常範囲内の眼圧に留まる正常眼圧緑内障眼は、高眼圧の原発開放隅角緑内障(狭義)眼と比べて、眼循環が悪く、より中心の視野障害を来しやすいという報告が以前から多くなされています。

本論文では、正常眼圧緑内障眼において、眼循環の指標となる眼潅流圧の日内変動を調べた結果、眼潅流圧の変動が大きいほど中心視野障害が強いと報告しています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23963166

眼科における花粉症対策について

本年の花粉飛散予測では、例年よりやや少なめとのことですが、季節性アレルギー性結膜炎は、アレルギー性結膜疾患の90%を占める重要な疾患です。治療はアレルゲンの曝露を防ぐことや抗アレルギー点眼薬の使用がメインとなりますが、本論文では、人工涙液や冷湿布の使用を組み合わせると効果的とのことでした。前者は、アレルゲンを洗い流したり、アレルゲンに対するバリアーの役割を果たしたりすることで症状を軽減し、後者は、血管を収縮させることで、かゆみの物質の放出を防ぐ働きがあるとのことです。

http://www.aaojournal.org/article/S0161-6420(13)00723-9/fulltext

現医院の沿革につき

新医院の開設手続きを行うにあたり、医院内の書庫を探ってみたところ、現医院の沿革についての正確な記載が書かれた書類がみつかりました。以下に現医院の沿革につき示します。
昭和8年8月1日 長岡市玉蔵院町甲924番地において眼科八百枝医院開設
昭和20年8月1日 戦災により廃止
昭和20年10月6日 長岡市東神田町1丁目1187番地において仮診療所開設
昭和22年8月1日 長岡市愛宕町2丁目1542番地に新規診療所開設
昭和27年8月1日 長岡市長町2丁目1709番地(現住所)に新規診療所開設
現在に至る

玉蔵院(現東坂之上町、山本五十六氏の生家のお隣だったそうです)時代のことをご存じの患者さんが今も来られていることに驚かされます。