今朝の長岡市も晴れています。
現医院である、眼科八百枝医院では院内処方でしたが、新医院では院外処方となります。皆様方にはご高配頂きますようお願い申し上げます。
昨日より長岡市の花粉飛散量が増加しているようです。当院に受診なさる方も増えております。
緑内障の診断や病期の進行判定において、視野検査は欠かすことのできない検査です。緑内障診療における一般的な視野検査は、ハンフリー視野計によって行われ、中心視野30度以内または24度以内の光に対する感度を精査します。しかしながらこれらのプログラムでは、視機能に関わる中心10度以内を精査することが難しく、また、中心24度以内のプログラムで正常と判定されても中心10度以内のプログラムで異常と判定される例もみられることが近年報告されるようになってきました。それに伴い、中心10度以内の病期の進行判定法を確立する必要性が出てきました。
本論文では、中心10度以内の各測定点をいくつかのセクターに分類し、セクター内の平均閾値の変化をプロットする方法を用いて、新たな進行判定法を確立しました。いずれこのような方法が一般臨床の場で活用されるかと思われます。
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0161642013009433?cc=y
光干渉断層法(Optical Coherence Tomography; OCT)は、光の干渉現象を応用して、主として眼底の微細な構造を、高解像度の断層像として表す画像解析法です。従来のOCTは光の干渉を実空間(時間領域)で行うものでしたが、近年多くの施設で用いられているOCT装置、spectral-domain OCTは、光波の干渉をフーリエ空間で行うことにより、時間分解能および空間分解能が著しく向上し、より詳細な眼底構造を観察することが可能になりました。緑内障診断においても、網膜神経節細胞が集中している黄斑部を微細に解析することにより、より早期での緑内障発見が可能となりつつあります。
本論文では、緑内障眼とpreperimetric glaucoma(眼底に緑内障性変化がみられるものの、視野に異常所見がみられない状態)眼とで黄斑部の解析をしたところ、平均2.54年の経過観察期間で、両眼とも下方の黄斑厚の菲薄化の進行が観察され、その程度はpreperimetric glaucoma眼より、緑内障眼で強かったことを報告しています。
落屑緑内障とは、落屑物質によって房水流出抵抗が上昇することにより発症する、比較的高齢者にみられる続発緑内障です。有病率は低いものの、眼圧コントロールが難しく、また、比較的眼圧を低く抑えても視神経障害、視野障害が進行しやすいことが知られています。その一因として、原発開放隅角緑内障と比べて、眼圧の変動が大きいことが挙げられています。
本論文では、原発開放隅角緑内障患者と落屑緑内障患者とで体位変換による眼圧変動を調べたところ、臥位では落屑緑内障の方が眼圧変動幅が大きかったことを報告しています。
網膜静脈閉塞症は何らかの原因で網膜静脈血流が途絶え、網膜が障害され、急激な視力低下や視野障害、ものが歪んでみえるといった変視症などを自覚する、眼科的に重要な疾患です。患者背景として、高血圧や糖尿病、その他心血管系疾患が合併していることが多いことが知られています。
本論文では、網膜中心静脈閉塞症患者では、健常者と比較して死亡率が高いことを報告しています。しかしながら、糖尿病や心血管系疾患の影響を補正して比較すると、死亡率に差がないことが示されました。したがって、網膜静脈閉塞症を有する患者には、積極的な全身疾患の管理が重要となります。
http://www.aaojournal.org/article/S0161-6420(13)00662-3/abstract
網膜血管には自動調節能があると言われており、眼圧や血圧、気温、体位などによる眼循環低下が起こりにくいとされています。一方、緑内障眼では、このような自動調節能が低下し、例えば軽度の眼圧上昇でも眼循環が低下しやすいとされています。その一因としては網膜血管内皮の機能障害が示唆されています。
フラボノイドは一酸化窒素を介して血管を拡張させる作用があり、チョコレートやワインなどに豊富に含まれています。本論文では、チョコレート摂取により、健常眼では網膜血管が拡張したものの、緑内障眼では変化がなかったと報告しています。