乳頭出血と緑内障

乳頭出血とは、視神経乳頭内または辺縁に線状の出血としてみられるものです。乳頭出血の最初の報告は1889年で、緑内障患者に多いことが示唆されました。その後時を経て、1970年にDrance先生が緑内障性視神経障害との関連性についての報告を行い、現在では緑内障発症および病期の進行の重要な危険因子として多くの研究がなされています。乳頭出血の近傍では、視神経辺縁部のノッチや網膜神経線維層厚欠損、乳頭周囲網脈絡膜萎縮がみられ、健常眼では稀にしかみられませんが、緑内障患者の4~7%にみられるといわれています。また、一度出血すると再発することが多いことも特徴です。乳頭出血がみられた場合には、63%に視野障害進行がみられ、79%に進行性の視神経障害がみられるとの報告もあり、その場合より積極的な緑内障治療が必要と考えられています。乳頭出血がみられた緑内障患者に眼圧下降治療を行った場合に、視野障害進行の程度が遅くなったという報告もあります。

とは言え、乳頭出血の病因も不明で、血管障害のために視神経障害が起こるのか、視神経障害が生じていく過程で、血管が破綻するのかも議論の最中です。更に問題なのは、乳頭出血は数カ月で消失してしまうため、経過観察中に見過ごしてしまう可能性があるということです。まだまだ研究が必要な分野と言えます。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20541265

 

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