古くから、レイノー病と緑内障に関係があることが示唆されています。レイノー現象とは、「寒冷時や冷水につかったときに四肢末梢部、とくに両手指が対称的に痛み、しびれ感とともに蒼白、あるいはチアノーゼなどの虚血症状をきたす」もので、末梢循環不全が緑内障の発症および病期の進行に影響を与えていると考えられています。レイノー現象を起こす人のうち、基礎疾患が不明なものをレイノー病と呼びます。院長が研修医だったころ、英国の著名な先生の講演で、「緑内障患者さんが来たら、先ずは握手をします!」と述べたことが印象に残っています。要は手が冷たいかどうかを確認するということです。レイノー現象を調べるには主には冷水負荷試験が行われ、冷水に手足を入れてサーモグラフィーで温度変化が大きくないかを観察します。
本論文は、緑内障患者に冷水負荷試験を行ったところ、健常者や高眼圧症患者に比し、網膜電図(心電図と同様に網膜の機能を電位変化で調べる検査)で低下していたことを報告しています。