眼圧ってどのくらいだといいのですか?

緑内障治療薬を開始した患者さんからよく聴かれる質問です。原則的に眼圧が下がればそれだけ視神経障害進行のリスクが低下するため、下がれば下がるほどいいのですが、そのためには薬物の多剤併用やレーザー、手術などのコストがかかったり侵襲があったりする治療が必要となるので、「必要最小限の薬剤で最大の効果」を得るために、目標眼圧を設定することがよくあります。目標眼圧の設定にあたっては、「視神経障害の進行を阻止しうる眼圧を前もって正確に知ることは困難ではあるが、治療を開始するにあたっては、緑内障病期、無治療時眼圧、余命や年齢、視野障害進行、家族歴、他眼の状況などの危険因子を勘案し、症例ごとに」設定します。具体的な例としては、「初期例19mmHg以下、中期例16mmHg以下、後期例14mmHg以下というように設定することが提唱されている。また、各種のランダム化比較試験の結果をもとに、無治療時眼圧から20%の眼圧下降、30%の眼圧下降というように、無治療時眼圧からの眼圧下降率を目標として設定することが推奨されて」ますので、それに準じて行うことが多いと思われます。海外での報告では、正常眼圧緑内障患者さんのベースライン眼圧から30%低下させた群では、視野障害進行が12%のみにみられたのに対し、無治療群では、35%に進行がみられたとしています。

緑内障診療ガイドライン(第三版)

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