高眼圧症

「緑内障の本態は進行性の網膜神経節細胞の消失とそれに対応した視野異常である緑内障性視神経症(glaucomatous optic neuropathy: GON)である」と以前述べました。一方、眼圧が統計学的に高い数値であっても、視神経症を生じない一群があります。それが高眼圧症です。とは言え、経過観察中に視神経症が生じ、緑内障に移行する例も少なくありません。緑内障診療ガイドライン(第三版)による定義は以下の通りです。「眼圧など房水動態の点では原発開放隅角緑内障と共通する特徴を有しながら、視神経の特徴的形態変化ならびに視野異常の存在を欠く病型を高眼圧症(ocular hypertension)と呼ぶ。原発開放隅角緑内障の前段階とする考え方がある一方、視神経の眼圧抵抗性の強い症例とする考え方がある。高眼圧症から緑内障へ進行しやすい症例の背景として、緑内障の家族歴、血管因子、加齢、人種、屈折異常などが知られている。また、角膜厚が厚いほど眼圧が高く評価されることに留意する必要がある」。

治療としては、まずは経過観察を行い、「繰り返し眼圧20mmHg台後半を示すような例、緑内障家族歴などの危険因子のある場合には、耐用可能な点眼薬で治療を行う」とされています。中には落屑緑内障や遅発型発達緑内障などが含まれていることがあり、経過観察はしっかりと行う必要があるものと考えております。

緑内障診療ガイドライン(第三版)

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