緑内障診療ガイドライン(第三版)によれば、原発閉塞隅角症疑いとは、「原発性の隅角閉塞があり、眼圧上昇も、器質的な周辺虹彩前癒着(peripheral anterior synechia: PAS)も緑内障性視神経症も生じていない、すなわち非器質的隅角閉塞(機能的隅角閉塞、appositional angle closureとも呼ばれる)のみの症例」としています。治療としては、経過観察の場合もありますが、閉塞隅角による眼圧上昇を予防する目的で、レーザー虹彩切開術や手術などのの観血的治療の適応となる場合もあります。どのような治療を選択するかには定見がなく、医師の判断に委ねられざるを得ない事情もあり、かつ自覚症状も乏しいことから、治療の選択や患者さんへの治療の説明に苦慮することがあります。本論文は、片眼をレーザー虹彩切開術で治療し、片眼を無治療で経過観察した報告ですが、レーザー後は急激に隅角が開放し、6カ月は同じ状態が続きますが、その後少しずつ隅角が狭くなってしまう一方、無治療眼では、より早いスピードで隅角が閉塞すると報告しています。