月別アーカイブ: 2014年9月

緑内障における眼循環、眼底構造変化、視野障害に関する原著論文が掲載されました

院長は他施設の研究のお手伝いを依頼されることがあります。この度、微力ながらお手伝いをさせて頂いた研究の原著論文が雑誌「あたらしい眼科」に掲載されました。緑内障の本態は緑内障性視神経障害ですが、それを引き起こす要因として、眼圧のほかに従来より眼循環の関与が指摘されてきました。本原著論文では、正常眼圧緑内障において、視神経乳頭血流と視神経乳頭形態、網膜厚、視野指標との関連を調べたもので、互いに強い関連がみられ、視神経乳頭血流の循環動態を捉えることが、緑内障治療の一助になる可能性を示唆しています。共著者に名前を連ねさせて頂き、関係各位に深く御礼申し上げます。 http://www.atagan.jp/article/20140936.htm

プロスタグランジン関連薬の過剰投与につき

緑内障治療における第一選択薬の一つはプロスタグランジン関連薬で、高い眼圧下降効果と、少ない全身的副作用のため、あらゆる病期・病型の緑内障治療に用いられています。しかしながら注意すべき点として、原則的に一日一回投与で、過剰投与は副作用などの点から、推奨されていません。本論文は女性の症例報告ですが、レーシック術後に人工涙液の代用として7時間の間15分毎に点眼したところ、急激な腹痛と不正出血がみられたということです。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25259759

急性緑内障発作と長時間のフライトについて

急性緑内障発作は、急激な眼圧上昇のために、視力低下、霧視、虹視症、眼痛、頭痛、悪心、嘔吐などの症状を伴う、救急医療においても重要な疾患です。本疾患では、早急な治療を行わないと、重篤な視機能障害を来すことがあります。本論文では、長時間のフライト中に急性緑内障発作を生じた3例について報告しています。フライト中は適切な治療を行えないことが多いため、予防的な点眼治療を勧めています。一般的に急性緑内障発作は予防的治療が可能なことから、高齢で、特に遠視を有する女性については、自覚症状がなくとも、眼科検診を受けるべきと考えます。 http://archopht.jamanetwork.com/article.aspx?articleID=1906170&utm_source=dlvr.it&utm_medium=facebook&utm_campaign=feed_posts%0A

原発閉塞隅角症疑いに対するレーザー虹彩切開術について

緑内障診療ガイドライン(第三版)によれば、原発閉塞隅角症疑いとは、「原発性の隅角閉塞があり、眼圧上昇も、器質的な周辺虹彩前癒着(peripheral anterior synechia: PAS)も緑内障性視神経症も生じていない、すなわち非器質的隅角閉塞(機能的隅角閉塞、appositional angle closureとも呼ばれる)のみの症例」としています。治療としては、経過観察の場合もありますが、閉塞隅角による眼圧上昇を予防する目的で、レーザー虹彩切開術や手術などのの観血的治療の適応となる場合もあります。どのような治療を選択するかには定見がなく、医師の判断に委ねられざるを得ない事情もあり、かつ自覚症状も乏しいことから、治療の選択や患者さんへの治療の説明に苦慮することがあります。本論文は、片眼をレーザー虹彩切開術で治療し、片眼を無治療で経過観察した報告ですが、レーザー後は急激に隅角が開放し、6カ月は同じ状態が続きますが、その後少しずつ隅角が狭くなってしまう一方、無治療眼では、より早いスピードで隅角が閉塞すると報告しています。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24835757

高血圧と原発開放隅角緑内障について

血圧と緑内障について聴かれることがよくあります。血圧が高くなると、眼圧もわずかながら上昇するという報告が多い一方、緑内障の危険因子として低血圧が挙げられることもしばしばあります。このパラドックスの理由はよくわかっていないのですが、低血圧ですと、視神経を栄養する血管の循環不全が生じている可能性が示唆されています。多数の報告を基にした本論文では、高血圧を有した場合の原発開放隅角緑内障のrelative riskは1.16倍で、収縮期血圧が10mmHg上昇すると眼圧が0.26mmHg、拡張期血圧が5mmHg上昇すると眼圧が0.17mmHg低下するとしています。ただし、母集団の違いや統計学的手法の違いなどから、血圧と緑内障の関係についてはまだまだ結論がでないものと思われます。 http://www.ajo.com/article/S0002-9394(14)00301-8/abstract

緑内障治療薬使用を長く継続するために

あらゆる慢性疾患の中で、緑内障治療薬を継続できる割合が極めて低いことはよく知られています。本論文は、継続できない危険因子を追跡調査したもので、居住や職場の地域、緑内障治療薬の数、ピロカルピン投与(有効な緑内障治療薬ですが、縮瞳するため、みえ方が変わるという副作用があります)、緑内障と診断された年度(2004年以前)、主治医の性別(男性)が挙げられています。一方、継続しやすい因子としては、プロスタグランジン関連薬投与、病院での治療、ケアの継続などが挙げられています。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25211300

成人における屈折変化について

小学生から中学生くらいにかけて近視化することが多いことは経験的にもよく知られていることです。おそらくは成長にともなう眼軸長の延長が主因として考えられています。一方、成年になってからも屈折が変化することも知られていることです。本論文は平均52歳を対象とした追跡調査ですが、2年間で0.09~0.22Dの遠視化がみられ、眼軸長は一年間に0.06mm短縮したと報告しています。 http://archopht.jamanetwork.com/article.aspx?articleID=1873090&utm_source=dlvr.it&utm_medium=facebook&utm_campaign=feed_posts%0A

水泳用ゴーグルと緑内障について

緑内障患者さんから、「日常生活で気を付けることはありますか?」と聴かれることがよくあります。一般論として緑内障は生活習慣病ではないと考えられており、眼圧を下げることが証明されている唯一の有効な治療法であること、おそらくはストレスが眼圧を上げることがあることから、「細かいことに拘らずに、とにかく毎日点眼を欠かさないで下さい。緑内障治療のアドヒアランスは他の慢性疾患よりも悪いことがわかっていて、毎日点眼することですら大変なことですから。」などとお話しています。過去においては、例えばネクタイをきつく締める人や、吹奏楽をやっていて力を込めて演奏する人は、一時的に眼圧が上がることから、緑内障患者さんは避けるようにと指導されることもあったのですが、追試もなく、最近では指導されなくなってきているかと思われます。水泳用ゴーグルが眼圧を上げるという報告が過去にあったのですが、追試が行われた本論文では、関係がなかったと結論付けています。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25204989

落屑症候群と日光曝露および居住地の緯度との関係について

落屑症候群は50歳以上の中高齢者の水晶体表面にふけ様の沈着物がみられ、縁内障や水晶体偏位などをおこし、高齢者の失明原因としても重要な疾患です。北欧に多い(高齢化が原因とも言われています)ことと、日光曝露が重要な危険因子と言われています。本研究では、居住地における赤道からの緯度について、1度離れる毎に11%、夏期に外出する時間については、1週間あたり1時間毎に4%、落屑症候群のリスクが高まることを示唆しています。 http://archopht.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1901215&utm_campaign=social_090414&utm_medium=facebook&utm_source=jamaophth_fb