白内障は目の中の水晶体が混濁し、かすみ目や調節低下、まぶしさ、物が二重にみえるなどの自覚症状の後、徐々に視力低下が生ずる疾患で、加齢とともに多くの方が罹患します。白内障を含め、いくつかの眼疾患予防として、米国眼科学会は外出時のサングラスの装用を勧めています。本論文は食生活と眼疾患の関係を調べたものですが、リボフラビン、ナイアシン、ビタミンB6およびB12摂取が白内障発祥リスクを低下させたと報告しています。
月別アーカイブ: 2015年7月
緑内障薬物治療に対するアドヒアランス低下の原因について
緑内障診療ガイドライン(第三版)によれば、アドヒアランスとは、「患者も治療方法の決定過程に参加した上、 その治療方法を自ら実行すること」であり、緑内障治療を成功させるためにはアドヒアランスを向上させることが極めて重要であると考えられています。
アドヒアランス低下の原因に対する論文はいくつかありますが、最新の本論文によりますと、自己効力感(Wikipediaより、自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できるかという可能性の認知)の低下、点眼の難しさ、さし忘れ、点眼スケジュールの難しさ、が要因として挙げられました。
The Most Common Barriers to Glaucoma Medication Adherence: A Cross-Sectional Survey.
日本眼科学会雑誌に論文が掲載されました
昨年6月にやおえだ眼科として旧医院から新医院に移転開業させて頂きましたが、その際、当院の緑内障患者の眼圧が下降していることに気づき、統計学的検討を加えたうえで院長が日本眼科学会雑誌に結果を投稿させて頂きました。その結果、このたび日本眼科学会雑誌に掲載されることとなりました。関係各位には深く御礼申し上げます。なお、眼圧が下降した理由として、何らかの心理物理学的ストレスの軽減が考えられました。
緑内障眼に対する白内障手術について
よく「緑内障ですが、白内障手術はできますか?」という質問を受けます。緑内障で障害を受けた視野は改善されませんが、濁った水晶体を摘出して透明な人口のレンズを挿入するため、視機能を向上させるためには寧ろ積極的な適応があります。かつ多くの症例で、白内障手術後に眼圧が下がるため、緑内障治療の点でも有利に働くケースが多いと言えます。
本論文では、緑内障眼に白内障手術を行った場合、原発開放隅角緑内障では術後13%、落屑緑内障では20%、原発閉塞隅角緑内障では30%の眼圧下降が得られたと報告しています。よって、白内障が強く、薬物で良好な眼圧コントロールが得られている原発開放隅角緑内障例、落屑緑内障例や、(眼圧上昇のメカニズムを解消させるためにも)眼圧コントロールに関わらず、原発閉塞隅角緑内障例では、白内障手術を行うことを推奨しています。
The Effect of Phacoemulsification on Intraocular Pressure in Glaucoma Patients