月別アーカイブ: 2015年5月

当院の手術につき

平成26年6月2日にやおえだ眼科として移転開業し、もうすぐ1年になります。現在までの手術件数を示します。

白内障手術(単独) 519件

緑内障手術(白内障手術併用を含む) 5件

硝子体手術(白内障手術併用を含む) 29件

抗血管新生薬療法 85件

網膜光凝固術 49件

後発白内障切開術 53件

虹彩光凝固術 22件

選択的レーザー線維柱帯形成術 9件

その他、眼瞼下垂手術、翼状片手術、霰粒腫摘出術などを行いました。

急性緑内障発作や網膜剥離など、緊急を要する疾患に対する手術につきましては、時間外も対応しております。

 

緑内障治療薬における後発医薬品について

緑内障診療ガイドライン(第三版)によれば、「アドヒアランスとは患者も治療方法の決定過程に参加したうえ、 その治療方法を自ら実行することを指すものと定義され」、「緑内障治療薬に対するアドヒアランスは医師が考えているよりはるかに悪いことが報告されている。」と書かれています。アドヒアランスを向上させるために、薬物その他の医療費を抑える、ということは大切なことの一つと考えられています。特に緑内障治療については、病気の性格上、長期に渡る頻回の診察および治療が必要なことが多く、医療費は無視できません。本論文では、後発医薬品を用いることにより、緑内障治療のアドヒアランスが向上したと報告しています。緑内障治療薬の後発医薬品については、眼障害を起こしうる防腐剤をフリーにした薬物や、薬品の保存方法を簡便にした薬物もあり、先発品に比して薬価以外のメリットもあります。ただし、本邦においては、後発医薬品の認可の基準が比較的厳しくないために、不測の副作用が生ずることがありえて、その使用については医師と患者との話し合いを十分にすべきと考えます。

http://www.aaojournal.org/article/S0161-6420(14)01116-6/abstract

自動車運転と緑内障について

緑内障例では、自動車運転に伴う事故が健常例に比し高まる可能性があることについては、最近日本において優れたシミュレーションデータが発表されました。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25724982

視野障害の様式について、どの部位での障害が事故を起こしやすいかについて、この度新しい報告がありました。一般的には緑内障眼については上半視野障害は自覚症状が出にくいとされていますが、本論文によれば運転については、下半視野障害に比し、上半視野障害の方が運転技術が劣るという結果でした。

http://bjo.bmj.com/content/99/5/613.abstract

Preperimetric glaucomaはどのくらいの割合で緑内障に移行するか?

緑内障の病期はcontinuum(連続体)と言われ、網膜神経節細胞の死から始まり、自覚症状の出現、症例によっては最後は失明に至る疾患であり、どの時点から緑内障として定義されるかについてはあくまで人為的なものと言えます。一般的には視野検査が確定診断となります。緑内障診療ガイドライン(第三版)によれば、眼底検査において緑内障性視神経乳頭所見や網膜神経線維層欠損所見などの緑内障を示唆する異常がありながらも通常の自動静的視野検査で視野欠損を認めない状態をpreperimetric glaucomaと称することがある、と記載されています。本論文では、実際にpreperimetric glaucomaのうちどのくらいの割合で緑内障に移行するかが報告されており、3年間で13%としています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25943739