月別アーカイブ: 2015年4月

ストレスと緑内障について

ストレスと緑内障の関係について質問を受けることがよくあります。二つの関係について、明確なエビデンスはありませんが、心理学的ストレスが眼圧を上げるという報告はいくつかあり、特に交感神経が優位な状態では眼圧が上昇するということはよく知られていて、そもそも緑内障治療薬として、交感神経β遮断薬が緑内障治療の第一選択薬の一つとして用いられています。では観血的に交感神経を遮断するとどうなるか? 動物実験ではよく行われていることではありますが、1898-1910年において、実際に頚部交感神経切除術が緑内障手術の一つとして行われていたようです。効果は限定的だったようで、後により有効で安全な薬物治療や観血的治療に置き換わったようです。ただし、都会生活者の方が郊外生活者よりも緑内障有病率が高いなどの傍証から、負担ないれべるでの、ストレス軽減は緑内障発症や病期の進行抑制に有用ではないか、と思われます。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25907524

緑内障性視野障害の部位とQOL

緑内障性視野障害の特徴として、網膜神経線維の走行の関係から、水平経線を挟んで上または下半視野の障害が生じ、後期になると、上下とも視野障害が起こり、多くは中心視野は末期まで保たれるとされています。一般的には上半視野障害は自覚されにくく、下半視野は軽度の視野異常であっても、自覚されやすいことも指摘されています。本論文では、上または下半視野障害を有する緑内障患者のQOLを調べたもので、やはり下半視野障害の方が、QOLが低下すると報告しています。

http://archopht.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1973975