月別アーカイブ: 2015年3月

正常眼圧緑内障と篩状板の厚さについて

正常眼圧緑内障とは、原発開放隅角緑内障(広義)の中で、眼圧が健常眼の統計学的な正常範囲に留まるサブタイプであり、種々の点で眼圧が高いタイプの緑内障と病因が異なることが指摘されていますが、それでもやはり眼圧が最大のリスクファクターであることには違いがなく、治療も眼圧を下げることに変わりはありません。病因の仮説の一つとして視神経線維を支持する篩状板が健常眼に比べて脆弱であることが示唆されています。本論文では、視野障害を生じた正常眼圧緑内障眼について、視野が正常な他眼や健常眼に比べて、篩状板が薄かったと報告しています。

http://www.ajo.com/article/S0002-9394(14)00779-X/abstract

緑内障と心理社会的機能について

緑内障患者さんが有する不安感についての論文です。本報告によれば、緑内障患者さんは健常者に比して63%高い割合で不安感を感じ、71%低い割合で自己像を有し、心理社会的健康度が32.4%低く、健康管理に対する信頼が38.3%低かったとのことです。このような傾向は視力や視野に比例するということですが、健康管理に対する信頼度を向上させるようにすると、心理社会的機能は向上するとのことです。

http://www.aaojournal.org/article/S0161-6420(14)00933-6/abstract

落屑症候群に対する白内障手術について

落屑症候群とは、落屑物質が水晶体表面や瞳孔縁のみならず、房水流出路である線維柱帯や水晶体を支えるチン氏帯に付着することにより、白内障や水晶体偏位、難治緑内障を生じる疾患群です。落屑症候群に対する白内障手術はやや困難なことがあり、脆弱なチン氏帯のため、術中術後に眼内レンズの偏位が生ずることがあります。
本論文では、落屑症候群で生ずる眼内レンズの偏位が、緑内障眼、特に重症な場合に多いことを示しています。

http://www.aaojournal.org/article/S0161-6420(14)00824-0/abstract