月別アーカイブ: 2015年2月

眼圧下降治療に伴う緑内障性視野障害の改善について

基本的に緑内障性視野障害は不可逆的と言われていますが、近年眼圧下降治療に伴い、一時的にでも改善する例が存在することが示唆されています。本論文では、薬物により眼圧を下降させるより、手術により眼圧を急激に下降させた方が、視野障害の改善がみられる例が多いことを示唆しています。また、手術加療に伴う眼循環の改善と視野障害の改善に関連がみられたと報告しています。

http://www.ajo.com/article/S0002-9394(14)00717-X/abstract

小児におけるステロイド緑内障の割合

局所または全身の、長期または大量のステロイド投与により、一部の症例で眼圧上昇がみられ、診断が遅れた場合には重篤な視機能障害を生じることがあります。一般的には診断が早ければ、ステロイド中止により眼圧は下降します。小児緑内障を後ろ向きに調べた本論文によると、ステロイド緑内障の比率は24%と極めて高く、特に春季カタルの治療に合併すると報告しています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25651206

選択的レーザー線維柱帯形成術の有効性

当院でも行っている選択的レーザー線維柱帯形成術(selective laser trabeculoplasty; SLT)は、房水流出路である線維柱帯に特殊なレーザーを照射することにより、流出抵抗の基である色素細胞や老廃物を除去したり、線維柱帯細胞の機能の活性化を促したりすることにより、房水流出を促し、眼圧を下げる治療であり、安全性が極めて高く、薬剤アレルギーがある症例や手術加療を望まない症例には有効な治療法であります。ただし、術後しばらくすると効果が減弱し、再照射する必要があるケースも少なからずみられます。本論文では照射エネルギーを高めることにより、より高い眼圧下降が得られる可能性を示唆しています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25651204