緑内障の本態は緑内障性視神経症であり、疾患により生じた視機能障害(視野障害)は原則不可逆的と考えられています。一方で、エビデンスのある唯一の治療法である眼圧下降治療で、わずかですが視野障害やコントラスト感度の向上がみられることもいくつかの報告によって示されています。この視機能の向上は、可逆的な網膜神経節細胞の存在によるものか、眼圧を下げること自体が健常な網膜神経節細胞の機能を向上させているのかはわかっていません。本論文は、統計学的に高い眼圧を有しながら、視神経障害、視野障害がみられない、所謂高眼圧症の症例に対して、眼圧下降治療で視野検査の感度が向上するかを調べたもので、感度が向上しなかったことから、緑内障患者における視機能向上は、視機能障害そのものを改善させている可能性があることを示唆しています。
http://www.aaojournal.org/article/S0161-6420(14)00361-3/abstract