月別アーカイブ: 2014年2月

カラーコンタクトレンズの使用について

米国眼科学会のガイドライン(2012)では、カラー美容用コンタクトレンズを安全に使用するために、以下のことを推奨しています。

・眼科医の検査を受ける。
? メーカー名,レンズの規格,使用期限が明記された有効な処方せんを入手する。
? 眼科医の処方せんを要求するCL販売店から仮装用カラーCLを購入する。
? 説明書に書かれたケア(洗浄・殺菌),装用方法を守る。
? 他の誰かとの仮装用カラーCLの共有は絶対にしない。
? 眼科医のフォローアップ検査を受ける。

日本においても、同様の啓発がなされているのですが、遵守されていないケースが国内外ともあるようです。

下記の報告によれば、重篤な角膜感染症にいたったカラーコンタクトレンズ装用者13名のうち、使い回しが5名、ゴミ箱から拾ったものを使ったケースもあったようです。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22378117

レーザー虹彩切開術と角膜内皮細胞

レーザー虹彩切開術は、閉塞隅角緑内障に対し、「瞳孔ブロックを解除し前後房の圧差を解消して隅角を開大する」目的で行われ、緑内障診療ガイドライン(第三版)においては、「瞳孔ブロックによる原発ならびに続発閉塞隅角緑内障では第一選択の治療である。プラトー虹彩が疑われる症例に対して瞳孔ブロックの要素を除去する目的で行ってもよい。」と記載されています。しかしながら、稀に角膜内皮細胞が障害され、水疱性角膜症という重篤な合併症を起こすことがあり、治療の適応は慎重に考慮すべきです。

本論文では、原発閉塞隅角症疑い(原発性の隅角閉塞があり、眼圧上昇も、器質的な周辺虹彩前癒着も緑内障性視神経症も生じていない例)の片眼に、予防的レーザー虹彩切開術を行ったところ、3年後に角膜内皮細胞の減少がみられたものの、未治療眼にも減少がみられ、両眼間で減少の程度に差がなかったと報告しています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23203700

視野検査後の眼圧上昇

緑内障患者さんの経過をみていくうえで、治療を変更するきっかけになるきっかけは、多くは視野検査結果と思われます。一般的に緑内障性視野障害は、十分な治療を行っても、徐々に進行していくことが多く、その場合であっても将来的に視機能に問題がない(自覚症状に変化が生じない)であろうと判断されれば、治療方針を変更しないのですが、過去の視野検査結果から、著しい視野障害の進行や、視機能に影響する中心近くの視野障害の進行、新規に暗点が生じる、などの変化を認めれば、より強力な眼圧下降治療を行うことになるかと思われます。そのほか、眼圧についても、治療薬に効果がない、目標眼圧に到達しない、眼圧上昇がみられる、副作用が出現する、などのきっかけで治療を変更することがあります。

本論文では、視野検査を行った後の眼圧は、普段の外来受診時の眼圧よりも高かったと報告しています。理由はストレスなどではないかとのことです。よって、視野検査直後の眼圧値を基に治療方針を判断しない方がいいだろうとの結論です。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21673592