月別アーカイブ: 2014年2月

白内障術後の眼圧上昇

一般的に白内障手術後は、隅角開大やチン氏帯のテンションの変化などのため眼圧が下降することが多いのですが、症例によっては逆に眼圧が上がってしまうことがあります。本論文では、1270眼中、12眼が眼圧上昇し、何らかの処置を施したと報告していますが、眼圧上昇の理由は術後の消炎のためのステロイド使用、糖尿病患者の瞳孔ブロック、残余皮質などを挙げています。緑内障手術既往眼、特に若年の強度近視、糖尿病患者に白内障手術を行う場合は注意を要すると結論付けています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24557756

 

選択的レーザー線維柱帯形成術の有効性

緑内障診療ガイドライン(第三版)によれば、「緑内障に対するエビデンスに基づいた唯一確実な治療法は眼圧を下降すること」であり、「原発開放隅角緑内障の治療は薬物治療を第1選択とする」ものの、眼圧コントロールが不良な場合には、薬物を増やすことが考慮され、「一般的に、眼圧コントロールに多剤(3剤以上)の薬剤を要するときは、レーザー治療や観血的手術などの他の治療法も選択肢として考慮する必要」があります。しかしながら、房水流出路である線維柱帯に小孔を形成させるアルゴンレーザー線維柱帯形成術では、術後の瘢痕形成により、かえって眼圧が上昇することがあり、一般的な緑内障手術である線維柱帯切除術では、眼圧管理などの理由で長期入院が必要なこともあり、いずれも忍容性に若干の問題があると考えます。比較的新しい治療である選択的レーザー線維柱帯形成術(selective laser trabeculoplasty; SLT)では、主に線維柱帯に溜まった色素を蒸発させて眼圧を下降させる治療で、治療効果の持続性は短いと言われているものの、正常な眼組織を破壊しないため、安全に繰り返し行える治療です。
本論文は、多剤併用の薬物治療でも眼圧コントロールが不良であった症例にSLTを行ったところ、一定の効果がみられたと報告しています。手術に抵抗のある方にはお奨めできる治療の一つと考えています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24558611

本日の新医院

昨日の新潟県はPM2.5の影響で霞がかっていましたが、今日の長岡市は少し霞が少ないようです。新潟市の速報値でも昨日よりはやや少なめのようです。しかしながら、外出時にはマスクの装用と、特にアレルギー性結膜疾患をお持ちの方は、眼鏡装用をお奨めします。

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PM2.5による目の影響

本日新潟に初のPM2.5の注意喚起があり、外出や換気を控えるよう指示が出されました。

PM2.5による目の影響を調べてみました。ハワイの火山での影響について調べた論文ですが、他覚眼科所見としては充血、粘性透明な眼脂、結膜乳頭増殖、涙点浮腫、眼瞼浮腫、結膜浮腫が、自覚的にはほぼ全例で痒み、異物感、流涙、灼熱感がみられたそうです。

外出時にはマスクとともにメガネの着用も推奨します。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22187513

新医院移転のタイムテーブルにつき

以前にもお伝えいたしましたが、現状新医院の建築が予定通り進められていますので、新医院への移転のタイムテーブルは下記の如くとなります。

現医院での診療は休日当番である平成26年5月25日(日)をもって閉院する運びになります。翌5月26日(月)~5月31日(土)までは移転準備のため、大変ご迷惑をおかけしますが、休診とさせて下さい。6月1日(日)は内覧会を執り行います。翌6月2日(月)~新医院での診療を開始する予定です。

新医院での診療時間につきましては、ウィークデーは30分延び、午前は8時30分~12時まで。午後は14時30分~17時30分までとします。土曜日は午前のみの診療です。日祝日は休診となります。

ただし、水曜日午後は手術日となりますので、原則外来業務は行いません。ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願い申し上げます。

睡眠時無呼吸症候群と緑内障

昨日いびきと緑内障についての新知見をアップしましたが、睡眠時無呼吸症候群は緑内障と関連するという報告が数多くあります。原因は循環不全や、持続陽圧呼吸療法による眼圧上昇などの機序が考えられています。

本論文では、大規模なスタディでの睡眠時無呼吸症候群と緑内障の関連を報告しています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24555122

いびきと緑内障

いびきは上気道閉塞によって生じ、正常でも生じますが、種々の疾患が関与していることがあることが知られています。本論文はいびきと緑内障の関係を調べたもので、いびきは男性、肥満、高い収縮期血圧、若年、高い認知機能と関係したものの、これらの寄与因子を除外すると、開放隅角緑内障、閉塞隅角緑内障、網膜静脈閉塞のいずれにも関係がなかったと報告しています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24551196