緑内障患者さんから、「高血圧治療薬を服用していますが、大丈夫でしょうか?」と聴かれることがあります。以前にも述べましたように、高血圧は高眼圧に関連し、低血圧は緑内障の危険因子と言われていて、血圧を下げることが緑内障にとっていいことなのか悪いことなのか不明であると言えます。また、一般的には高血圧治療は利益の方が不利益を上回る場合が多く、緑内障に影響を与えるとしてもわずかですので、「そのまま服用していて下さい」とお話しすることが多いです。
院長が大学病院眼科の緑内障外来にいた頃は、Ca拮抗薬が眼血流を向上させ、神経保護にも効くというデータがいくつか出ていたため、血圧が下がらないタイプのCa拮抗薬を緑内障治療に使用していたことがあります。しかしながら、その後の調査で、Ca拮抗薬はかえって緑内障を悪化させるというデータが出て、そのような治療はすっかり廃れてしまったように思えます。今でも、Ca拮抗薬の有効性を示すデータも出ていますし、まだまだ研究が必要な分野と言えます。