血圧と緑内障について聴かれることがよくあります。血圧が高くなると、眼圧もわずかながら上昇するという報告が多い一方、緑内障の危険因子として低血圧が挙げられることもしばしばあります。このパラドックスの理由はよくわかっていないのですが、低血圧ですと、視神経を栄養する血管の循環不全が生じている可能性が示唆されています。多数の報告を基にした本論文では、高血圧を有した場合の原発開放隅角緑内障のrelative riskは1.16倍で、収縮期血圧が10mmHg上昇すると眼圧が0.26mmHg、拡張期血圧が5mmHg上昇すると眼圧が0.17mmHg低下するとしています。ただし、母集団の違いや統計学的手法の違いなどから、血圧と緑内障の関係についてはまだまだ結論がでないものと思われます。