大分寒くなり、風邪をこじらしている方も多いのではないかと思います。風邪薬や胃薬、睡眠薬などの添付文書に「緑内障の方は禁忌または注意するよう」喚起がなされていることがあります。これは副交感神経を刺激または交感神経を抑制させる働きを持つ薬物が、場合によっては急性緑内障発作を生じさせる可能性があり、その際には手術治療を行わないと失明に至ることがあるからです。
しかしながら、眼科医の側からみると、緑内障の中で、急性緑内障発作を起こす「閉塞隅角緑内障」の病型は少ないこと、そもそも緑内障の診断がなされて、急性緑内障発作が起こりそうな方にはすでにレーザーまたは手術治療がなされているケースが多いことから、むしろ怖いのは、「緑内障の有無を調べたことがない人」と思われます。
多くの緑内障は、自覚症状なしに病期が進行しますので、症状がなくとも、中高年の方の眼科検診を勧めます。