一般的な緑内障診断における視野検査は、field(範囲)というよりはthreshold(閾値、感度)をみています。その理由は、緑内障性視野障害の多くは中心30度以内に初発し、ほとんどは孤立暗点から始まり、病期の進行に伴いその部位の感度が低下し、暗点の面積が拡がる、という経過をたどるからです。現在においては、測定時間を短くすること、疲労効果を下げること、周辺部は眼瞼の影響などでエラーが多いことなどから、30度よりも24度以内をみる検査が主流となっているかと思われます。多くの眼科施設で使用されている視野計はハンフリー視野計と呼ばれるもので、特に検査結果の解析能力には定評があります。しかしながら、本機器においては、閾値を検査する測定点が均等に配置されているという大きな問題点があります。本来患者さんの自覚症状を推測する上でも、また、網膜神経節細胞の密度の点からも、測定点は中心に密である必要があります。それを補完するために、10度以内を密に捉える検査も必要となってきます。
本論文では、緑内障性視神経障害を有する患者さんを調べたところ、ハンフリー視野計で24度以内を測定するプログラムでは異常がみつからなかった例でも、10度以内を密に測定するプログラムでは16%に異常がみつかったというものです。