緑内障診療ガイドライン(第三版)によれば、「緑内障に対するエビデンスに基づいた唯一確実な治療法は眼圧を下降すること」で、緑内障に対する、薬物、レーザー、手術の各治療も「眼圧下降」を目指しているに他なりませんし、そのような治療もはるか昔から行われてきました。しかしながら、エビデンス(根拠)が証明されたのは20年ほど前に過ぎません。近年、エビデンスに基づいた治療の有用性が求められていますが、高いエビデンスを得るのは容易ではありません。その中で、ランダム化比較試験を多数例、多施設で行うことは、ほぼ最高と言っても過言ではないエビデンスレベルです。
「眼圧下降」が緑内障治療に有効なことは証明されたのですが、薬物治療(点眼液)で眼圧を下降させることが、緑内障治療に有効であるとする多数例、多施設のランダム化比較試験は今までありませんでした。昨年初頭にThe United Kingdom Glaucoma Treatment Study (UKGTS)と呼ばれる、ラタノプロスト点眼を用いた研究の概要が報告されました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22986112
この度、新たにUKGTSを行う症例についての報告がなされました。対象は516名、平均年齢は66歳、視野は比較的後期で、24か月間追跡調査がなされるという内容です。今後の結果を期待したいものです。