一般的な緑内障、特に従来正常眼圧緑内障と呼ばれていた疾患については、非常にゆっくりと病期が進行し、極論すればその人の一生の管理が必要で、長きにわたる患者と医者との信頼関係を築かなければなりません。多くの場合、緑内障の治療は薬物治療が主となりますが、従来、「患者さんがきちんと薬物を使っているか?」を示す言葉として、「コンプライアンス」という言葉が使われていました。「コンプライアンス」とは、「医師からの一方的な治療指針を患者が守ること」と定義されますが、信頼関係を得るのに不適切とされ、現在では「アドヒアランス」という用語が主に用いられています。「アドヒアランス」とは、「患者も治療方法の決定過程に参加した上、 その治療方法を自ら実行すること」と定義されます。緑内障診療において、このアドヒアランス不良が大きな問題となっており、他の疾患の薬物治療と比較してもはるかに悪いことがわかっています。