一般的に「緑内障」というと原発開放隅角緑内障(広義)をイメージするかと思われます。また、風邪薬などの添付文章などで「緑内障の方は注意ください」などと書かれる場合には、原発閉塞隅角緑内障を想定します。これらの緑内障は、「緑内障性視神経症」の有り無しで緑内障かどうかの診断がなされます。
一方、少ない割合ですが、続発緑内障と呼ばれる一群があります。本疾患は、「他の眼疾患、全身疾患あるいは薬物使用が原因となって眼圧上昇が生じる緑内障」なのですが、緑内障診療ガイドライン(第三版)によれば「本症の一部では、原疾患、他疾患の存在により緑内障性視神経症による視神経の形態的変化、機能変化(視野変化)の評価が困難である。このため、経過措置として、従来の解釈どおり、続発緑内障には続発性の眼圧上昇を有し、緑内障性視神経症を生じていない症例を含めることと」しております。
これらの理由で、包括的な緑内障の定義が困難なものとなっております。緑内障の本態は「進行性の網膜神経節細胞の消失とそれに対応した視野異常である緑内障性視神経症」であることには違いはないのですが、続発緑内障について言えば「眼圧上昇」のみで緑内障と診断することがあるからです。そのような事情もあり、患者さんに「自分は緑内障ですか?」と聴かれると、おこたえし辛いケースが多々あります。