光干渉断層計を用いた緑内障診断について

緑内障の本態は進行性の網膜神経節細胞の消失とそれに対応した視野異常であり、一般的に初期には網膜神経線維層の菲薄化や視神経乳頭陥凹拡大といった眼底の変化ののちに、視野検査で感度低下が生じ、その時点で緑内障の診断がなされます。緑内障診療において、視神経障害は不可逆的なことから、早期診断が重要であることは言うまでもなく、眼底を三次元的に観察する光干渉断層計(OCT)による視神経や網膜の微細構造の評価は、早期診断に極めて有用です。

本論文では、眼底変化はみられるものの視野障害が生じていない、所謂緑内障疑いの症例を経過観察し、最終的に視野障害が生じた1/3の症例でOCTで4年前に緑内障性変化がみられ、長いものでは視野障害が生ずる8年前にOCTで変化がみられたと報告しています。ただし、あくまでもOCTは緑内障診断においては補助的に用いるべきで、視野検査が重要であるとも述べています。

Estimating Lead Time Gained by Optical Coherence Tomography in Detecting Glaucoma before Development of Visual Field Defects

3 thoughts on “光干渉断層計を用いた緑内障診断について

  1. 眼底変化はみられるものの視野障害が生じていない人たちのどれくらいに、後に視野障害が出たのでしょうか?
    octで神経の厚みに問題があった場合、8年以内に視野障害が出るということか、出ない人もいるのでしょうか。
    出ない人もいる場合は8年以上も有りうるということになってしまいますが。

    1. 文章がわかりづらかったために改変いたしました。この研究、緑内障疑いの症例を経過観察して最終的に緑内障になった症例のうち、遡ってOCTで緑内障性の変化が捉えられていたのはいつだったか?を調べたものです。勿論OCTで緑内障性変化がみられても、ずっと視野障害がみられない例もあると思います。

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